5人と包丁
目の前を、包丁を持った人が通りすぎていった。
周りを見渡すと、他にも包丁を持って歩いている人が数人いる。
みんな歩いていく方向が一緒・・・?
不思議に思う。
建物の扉の前に集まった人は5人。みんな包丁を持っている。
男性、女性、性別も年齢も様々。
5人が集まると会話もなく扉の中に入っていく。
他の扉の前にも包丁を持った人が5人集まり、同じように扉の中に入っていく。
「おい。」
どうしよう。見すぎた。
包丁を持ったガタイの良い男性に話しかけられた。
いや、包丁よ。
薄暗い中に包丁の光だけがやけに目に入ってくる。
どうしよう、めっちゃ怖い。
返答に困ってたら腕をつかまれた。
いやいやいやいや。
扉の前に連れていかれそうになる。
必死に抵抗してみるがズルズル引きずられる。
「00:00になった。いくよ。」
「・・・。」
集まっていた他の4人が扉の中に入っていく。
男の人は諦めて腕を離してくれた。
そして遅れて扉の中に入っていく。
私はその場に膝をつく。
他の扉から、4人が出てきた。
あとの1人が出てこない。
あぁ、やっぱり・・・。
私は思い出す。
あの包丁の使い道を。
なぜ5人入って4人しか出てこないのか。
ガタガタ・・・
いまさら震えが来た。
私がどこに連れていかれようとしていたのか。
あのまま扉の中に入っていたら、
出てこないのは私だったかもしれない。
そして扉は、
4人になるまで出してはくれない。
なんでわざわざそんな所に入っていくのか。
この人達が誰なのか。
この扉はなんなのか。
なにもわからない。
ただ、
包丁についた赤色が
とても鮮明だったのを覚えている。
怖くて目が覚めたのは午前4時( ・ω・)