放課後デート
今回の話、個人的に好きだったりします。
よろしくお願いします。
おれが校門に着いた時にはもう既に胡桃は先に来て
いたらしく俺を見つけるなり、
「おっそーい!女の子待たせるなんて鍋島そんなんじゃモテないぞー?」
軽く罵り始めた。なんで同じクラスで同じ時間に
終わったはずなのにこんなに違うんだ?
リア充ってやつは恐ろしい....
「いいんだよ、別に俺は恋愛なんてものに興味なんてないしな」
「そんなん言ってるから冴えないだとか根暗だとか好き勝手言われるんじゃーん」
周りのその評価は決して間違ってはないと思う。
まあ、自分の顔を鏡で見てほしいが、、
その分で言えばこの胡桃萌という人物は可愛い。
まさしく評価する側の人間だ。
「もー、せっかくこれからデートなのに何難しい顔
してんのよ~!」
「なんでお前そんなノリノリなんだよ。
罰ゲームなんだろ?」
「罰ゲームは告白までのこと。鍋島を惚れさせるって決めたのは私の意思だからね。あっ、でも鍋島のこと好きじゃないからそこは勘違いしないでね!」
これがツンデレではなく本心だというのは俺としても好都合。。俺も絶対恋愛なんてものは
もうしたくないからな。
「でどこに行くんだ?」
「これだからダメンズは....まあ今日はいいか。
駅前に新しくカフェができたからそこに行こうかなぁって思ってるんだけどどうかな?」
駅前にできたカフェって....
あのリア充が好きそうな洋風外装の店か、、
「お前そんなところ俺なんかと行っていいのか?」
「大丈夫よ。イケメン彼氏ができた時のリサーチ
だから気にしないで」
まあ、本人がそういうのなら問題はないのだろう。俺はおとなしくそのカフェに行くことにした。
……
駅前のカフェは最近オープンしたとあって列ができていた。
「やっぱり人気ってだけに人も多いわねぇ~」
「なぁ、ほんとでここにいくのか?別の場所でも....」
「今更何言ってのよ。はやく並ぶわよ」
はぁ、やっぱりリア充ってやつは凄い....
30分ほどの待ち時間があったが、その間お互いに
特に話すわけもなく胡桃も携帯とずっと
にらめっこしていた。
変に話しかけられるよりかはそっちの方がありがたいけどな。
「大変お待たせいたしました。何名様でしょうか~?」
どうやらやっと席に座れるらしい。
「2名です」
「禁煙席でよろしいですかー?こちらのお席にどうぞ~」
話は少し逸れるかもしれないが、こういうマニュアル通りってのも俺は嫌いだ。学生が堂々と喫煙席にいくわけもないだろう。
「さあ!鍋島何頼む~?」
「そうだな、俺はこのパンケーキとストロベリーソーダにしようかな」
「びっくり!そんな可愛らしいもの頼むんだ~」
ほっとけ、顔と性格がちょっとあれなだけで味覚は
正常なはずだ。
「なら私も同じもの頼もうっと~あっ、俺と同じもの頼むなんてって今ドキッとした?」
「してねーよ。注文が決まったなら店員呼ぶぞ?
すいませーん」
「全く、、ほんとつれないんだからー....」
待つこと20分、ようやくパンケーキが運ばれてきた。この店、外観良くても待ち時間が色々と多いと思うんだが....
「このパンケーキすごく美味しい!」
「あぁ、これは美味い....」
にしてもこいつ、ほんといい笑顔でパンケーキ食べるなぁ....
一般男子ならこんな笑顔で食べられたら待ち時間のことなんてどうでも良くなりそうだ。
それに、こんな笑顔で食べてくれるのなら
卵を生んだ鶏も喜んでくれるまでの笑顔だ。
「鍋島のパンケーキも美味しい?
一口もらおうっと~」
そう言って俺がさっきまで使っていたフォークで俺のパンケーキを食べる胡桃。
「いや、同じもの頼んだから味は一緒だろ?」
「鍋島が使ったフォークの分、こっちの方が美味しかったり??」
お前のその発言はただのビッチだぞ....
「そんなことされても俺は惚れたりしないから早く
フォーク返せ」
「ちぇっ、おもんないの~」
「いいんだよ、面白さ求めてないんだから」
「ふーん、鍋島って話してみると案外面白いね」
いやさっきおもんないって言ってたろ。
ほんと、よくわからんやつだ。
「でもほんとここのパンケーキ美味しかったな」
「うん、美味しかった!また行きたいくらい!次は~って言いたいけどもう結構いい時間だし今日はお開きにしよっか!」
「あぁ、そうだな。なら支払いしてくるから先に出といてくれ」
「いや、いいよ。私が食べた分は払うから」
「遠慮するな。普段絶対行かない場所でこんな美味しいもの食べれたんだ。そのお礼ってことでな」
「へぇ、案外そういうところは素直なんだ....
わかった!でも今度はちゃんと私にも払わせてね?」
「あぁ、今度は割り勘にしよう」
あっ....しまった。すっかり乗せられて次回また遊ぶ
ような約束になってしまった。
だが奢られることを一度は拒否するとは....
胡桃も案外悪いやつじゃないのかもしれない。
それも作戦の一部なら恐ろしいが....
「じゃあ私こっちだから~」
「あぁ、気をつけて帰れよ」
胡桃が帰っていくのを確認し、俺も帰路につく。
不思議と今日のこの時間、苦痛ではなく楽しいと
感じてしまっていた自分がいた。
好きになることはない。でも友達になら....
......
“あなたと一緒にいるのは苦痛だったのよ”
....っ!そうだな....
信用して裏切られるのはもうごめんだ。
適当に合わせておけば俺のことなんてきっと相手に しなくなる。罰ゲームならなおさらだ。
振られたことがなかったあいつが一時の迷いでこんなことになっただけ。
はぁ....環境を変えてもお前はいつまでも俺のことを苦しめるんだな沙霧....
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