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人間嫌いな俺とビッチな少女  作者: マイナスイオン
秋の一大イベント帝都高校祭
34/61

帝都高校祭Part4〜鍋島睦月が欲しいもの〜

よろしくお願いします!


「これよくできてるなぁ」


「先生たちで作ったらしいよー?」

……

「絶対これ当たんねえよ」


「ファイト鍋島~」

……

その後も時間の許す限り私たちは周りの目を気にせず楽しんだ。


「ねえ鍋島、この高校祭のジンクスって知ってる?」


「サントス?野球選手か何かか?」


「ジ、ン、ク、ス!」


「そんなアニメの中だけみたいなことが現実にあるのか?」


「私も詳しくは知らないけどあるらしいよー

だから高校祭終わったら屋上に行こ?」


「話が二転三転しすぎてよくわからんが、終わったら屋上に行けばいいのか?」


「うん!なんて言ったって私たちの出会いの地だからね!」


「お前が呼び出して勝手に嘘告白しただけだけどな」


「だからー!でも、あの時はごめんなさい」


「悪い、なんか掘り返しちゃったな。俺は気にして

ねえから!まあそれに友達もできたしな」


「鍋島に友達なんてできるのー?もしかしてわ....」


私と言いかけた話を遮られるように別の女の子の名前が鍋島の口から出る。


「神野がこれからも仲良くしてねだってさ。

これってさ、友達ってことだよな?」


鍋島の口から出たものは私ではなく、よりにもよって私を嫌ってる里美だった。


「まあ、そうなんじゃないの」


けれど、じゃあ私はどんな存在なのかを聞く勇気は今の私にはなかった。


「じゃあ、また後でな」


そう言って去っていく鍋島。


“帝都高校祭の後、2人で屋上を訪れればずっと一緒にいられる”


嘘のような、ただの都市伝説かもしれないけど一緒にいることができれば鍋島はいつか私に惚れてくれるのかな?


よし、絶対に2人で屋上に行くんだからね!

私はそう深く決意を決めて教室へと戻ろうとする。


「あっ、」


控え室は4階、そして3階にあるお化け屋敷へと戻ろうとした私は思いっきり足を踏み外してしまう。


気付いた時にはもう遅く、私の体は宙に舞い激しく

階段の中間地点に投げつけられた。


段数が比較的少ない階段の中間地点までだったのが

不幸中の幸いか、立ち上がることはできた。

だけど足をくじいたらしく痛みで上手く歩くことが

できない。


幸い周りには誰もいなかった為、大きな騒ぎにはなってないけど、足が....凄く痛い....


だけど、私の休憩の時間は終わり。急いで戻らないと私が

怪我をしたことでクラスの雰囲気に水を差したくない。


「あっ!萌~交代だよねー?よろしくねー!」


「うん!しっかりアピールするから任せといて!」


私は無理やり笑顔を作る。


「じゃあ休憩行ってきま~す」


この時間の呼び込みは私1人。

だけど動くことは少ないし、大丈夫だとは思うけど、屋上に上がること考えたら、この痛みが高校祭終わるまでに引くことを祈るしかないよね....


「お化け屋敷いいですかー?」


「はーい♪ありがとうございますー!ではこちらと....」


とにかく痛みが引くかは神頼み....


私はそれまで頑張るしかないよね!


*********************


胡桃と別れて俺はお化け屋敷へと向かう。

後半の役目は照明担当でお化け役は午前で卒業した。


ライトの微調整が主な仕事のため、自然と俺は物思いに耽る。


あいつと一緒にいる時間はいつも楽しい。


なぜ、俺は胡桃と一緒にいるとこんなにも落ち着くのだろうか?


俺にとっての胡桃は何なのか?


神野里美が高校に入ってからできた初めての

友達なら胡桃は俺にとっての何なんだ?


決して、好き....ではない。だが、一緒にいると

落ち着く。それはもちろん神野以上にだ。


多分、いや俺はきっと胡桃萌という人物に憧れてるのだという結論に至る。


過去を乗り切れず、孤立を図る俺にまずは自分を

信じてと言ってくれた胡桃は、俺に一筋の明かりを

灯してくれた。


人と人との関わり、それはいつまでも続くとは限らない関係だ。


だから可能な限りでいい、この関係が切れてなくなってしまうまでは彼女と居たい。


俺はそう思うようになってしまった。


彼女の言う惚れさすの意味が好きではなくそれを指すならば俺はとっくに惚れている。


“本気で好きなわけないじゃん”


“幼馴染としての縁を切りたかったし”


俺が人を好きになることは今の時点ではないだろう。未だに沙霧の言葉は俺の心を深く支配している。


俺は沙霧、幼馴染を好きになってしまった。


そして彼女、沙霧との関係は全て壊れた。


好きと言う感情が全てを壊し、好きと言う気持ちが人との関係を全てを終わらすものならば俺はそんな感情はもう持ちたくない。

……

「ねえ、そう言えばさー帝都高校祭の後に屋上に行って2人で過ごすとその2人はずっと一緒にいられるってジンクスがあるらしいよー?」


「そうなんだー!私も彼と行ってみようかなー」


「じゃあ2人が別れたらそのジンクスは嘘ってことになるね!」


「もうー縁起でもないこと言わないでよー」

……

そんな生徒同士の会話がふと耳に届く。


確か、胡桃は一緒に屋上に行こうと言った。


胡桃はジンクスを知っている物言いだった。


彼女がなぜ俺は屋上に誘ったのかは俺には分からないが俺はジンクスの話を聞き、屋上へ

行くと覚悟する。


なぜなら俺は、壊れることのない関係を欲してしまったから......







ここまでご覧いただきありがとうございます。

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