罰ゲーム
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「7,8,9,10!萌は9枚だから萌の最下位が決定しました~!」
「やっと負かすことができたね~」
「「ね~!」」
「さあて萌にはなにしてもらおっかなー?」
最悪だ、まさか負けてしまうなんて....
私の名前は胡桃萌17歳の久里高校に通う
高校2年生。
この会話だけだと誤解されるかもしれないけど決していじめられているわけではない。
むしろ、自分で言うのはなんだけど、
この学年のスクールカーストにおける上位グループにいると自負している。
そして私たちは毎回罰ゲームをかけ、こうして週一回、グループ6人でトランプをしている。
そして今回、いや初めて私はこのゲームに負けてしまった。
ただ、罰ゲーム自体はそんな過酷なものでもなくただ、私たちが暇つぶしをするのに最適なことをする程度だ。
しかし初めて負けてしまった私にとっては全くの未知....考える側から実行する側に変わっただけでこんなに緊張するなんて....
「萌にやってもらう罰ゲームが決まったよ~」
私たちのグループリーダーでもある雨宮雫が私にこう告げた。
「萌には、学年一なに考えてるかわかんない、そして無愛想な鍋島睦月に告白して、OKを
もらった時点で振ってもらいま~す」
「ルックスに自信を持ってる萌にはぴったりな罰ゲームでしょ?」
とサブリーダー桜井心もつづく。
はぁ、告白ドッキリかぁ。よりにもよって初めてが1番めんどくさいやつだなんて....
このドッキリのめんどいところは反応を見るのは面白いけど後処理がめんどいわけ。
変に付きまとわれても困るし....
それに、相手は鍋島睦月かぁ。一応、私のクラスメートではある。だけどいつもなに考えてるかわかんないし、ぼーっとしてるし、周りとは一切関わろうとしないし、とにかく冴えない奴!
でも、そんな奴に告白して普段とは違う反応が見れるかもなんてちょっと楽しみになってきた!
振られる心配?ないない!私、心も言ってたように顔には自信を持ってるし、人生で告白を断ったことはあっても、振られたことはないもの。
「告白ドッキリ実行は明日の放課後の屋上、萌は同じクラスなんだからちゃんと直接呼び出すこと、いいね?」
もちろんゲームに負けた以上拒否権はないし、私も拒否するつもりはない。
「学年一無愛想で冴えない男の反応が楽しみね~」
「萌、ちゃんとした告白しなさいよー!」
「任せといて~!とびっきりの用意するから!」
決行は明日。今からどんな反応するかワクワクが止まらないわ!
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……
「なんであいついっつも1人なんだ?」
……
「今鍋島に見られた気がする~」
「えーそれまじキモくね?」
……
「鍋島さー、ここ地元じゃないらしいよ~」
「えーそうなのー?絶対中学の時になんか
やって県外に出てきたって感じじゃーん」
「えー、なにそれー!めっちゃ怖くない~?」
……
こうやって有る事無い事喋られる。
だから、人は嫌いなんだ。勝手に人のこと冴えないだとかキモい、感情がわからない、好き勝手言ってくれるが、一回鏡を見てみたらわかる。お前らも大した顔してないことがな。
それに感情がわからない?今、一体どれだけの人間が本音で話をしている?所詮は建前で
あり薄っぺらだ。
人ってのは信じても何もいいことはない。家族以外は血も繋がってないしどこまでいっても赤の他人。どんなに俺が信じてたとしても
結局は....裏切られるんだからな....
とにかく鍋島睦月、俺はそんな考えしかできない、いやそんな考えを持つ人間だ。
だから、俺は人と関わりたくない。
……
「ねー鍋島~今日の放課後空いてる?」
そして厄介なのに話しかけられてしまった。
「カースト上位のお前が俺になんのようだ?」
「いきなりそんな睨まないでよ~しかもなに
その言い方~!私は用があるから呼んでるの。
どうせ暇だろうから放課後に屋上に来てね!私...待ってるから!」
そういいグループの中に戻っていく胡桃萌、
どうせまた俺の悪口か、ロクでもないことだろう。だが、行かずに後で奴らの取り巻きにボコボコにされるってのも面倒だし行くとするか....
乗り気ではなかったが、仕方なく俺は屋上に向かうことにした。
……
「なに~最後の溜めた言い方~!」
「ちょっと事前に?
もしかしてを与えてみたりしてー?」
「萌ってば案外乗り気じゃーん!」
周りが騒がしい気もするが俺には関係ない。
そして俺にはこれから憂鬱な放課後が待ち受けているのであった。
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