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ウロボロスの瞳  作者: (>_<)
3/3

利益と少女

[5]


キリア王国の侯爵家の一つ。クレア家の一人娘であるクレア・カロスは恐怖と焦燥感に駆られていた。彼女は今、フードを被った二人組の男達に追われているのだ。


事の発端はカロスの朝の日課だった。彼女は毎朝クレア家の屋敷の周りにある森を散策するのが好きだ。今日も今日とて、散策を楽しんでいると、二人組の男達が自分を観察しているではないか。


その男達の雰囲気から、まず味方ではない事を理解したカロスは兎に角逃げた。カロスは貴族の一人娘として親や教育係から、常に危険については危惧されていたのだ。

しかし不幸にも今日に限って遠出しており、屋敷まではキョリがある。カロスが逃げる間にも敵はカロスとのキョリを詰めていく。


カロスと敵とのキョリが五十メートルを切った。最悪の想像が思い浮かぶ。「ああ神様…どうか私をお救い下さい」とカロスは神頼みをするしかなかった。


逃げる。逃げる。ひたすら逃げる。


だが現実は無情だった。敵とのキョリはどんどん近くなる。男達の話し声が聞こえる。所々しか聞こえないが、どうやら自分を誘拐する話のようだ、とカロスには理解出来た。


カロスは必死に逃げたが、もう敵に追い詰められた事を悟ると、近くにあった木にもたれかかり、諦めてしまった。神様なんて助けてくれないではないか。そう悪態をつきながら目を閉じる。


その時だった。全てを諦めかけたカロスの前に一匹の大きな蛇が現れたのは。


[6]


何処からか悲鳴が聞こえる、それも女の子のモノだ。それは将の耳にも届いた。悲鳴を聞いた将はこれをチャンスだと思った。


なぜなら将が異世界に来てから初めて確認した話の通じるであろう人物を見つけたからである。彼女を今取り巻いている悲鳴を上げてしまうような状況から救えば、彼女に恩を売れる、そう考えたのだ。


将は物事を損得で捉える癖があった。勿論正常な人間としてのー今は蛇だがー多少の正義感も含まれてはいるが。

余談だが将は話すことが出来る。発声器官がどうなっているのか本人としても不思議だが、そこを考えても仕方がない。


そうと決まれば行動は早かった。急いで悲鳴の元へ向かう。体は蛇だが異世界謹製の蛇だ。速く動く事は造作もなかった。


森をかき分けようやく目的地に辿り着いた将。そこで彼が見たのはフードを被った恐らく男であろう二人組が、恐らく上質な服を着て今にも全てを諦めたような顔をしている少女を木に追い詰めている状況だった。


「おいおい、僕にどうにか出来る状況なのか」


将は冷や汗を流しながらそう呟いた。少女は将を見て目を丸くしながら驚いているし、二人組は早くも邪魔が入ったとばかりに臨戦態勢だ。将の逃げ道は既に無かった。


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