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異世界で花婿修行  作者: 叶陽月
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彼女の笑顔は太陽にも勝る

それからいろいろあって三日たった。

体を拭かれ続けてトラウマとかで精神が死にそうになったけど、ガチムチのおっさんに拭かれることと比較したら何とか乗り切れた。ありがとうおっさん。

でも寿命は縮んだと思う。


三日過ごしてみて分かった事が色々ある。


まず、ここが異世界で僕はなぜかラング君の体と記憶を受け継いだ。異世界であると分かった理由は電化製品が一つもないから。過去に飛ばされた可能性も捨てきれないけど、髪色とかでそれはほぼないだろう。


次、この家は農村にある一軒家で、ムキムキマッチョのおっさん、グラース一家が住んでいる。家族構成は、グラース。30歳前半くらいに見える(父親)・エフィル。年齢不明(グラースの妻)・シェーネ。5歳(女の子)となっている。

グラースの妻であるエフィルさんはすごい美人さんで見た目年齢は10代でも通ると思う、なんでこんなおっさんと結婚したんだろうと不思議に思うレベルだ。

親子三人とも髪の色が違って、グラースは青っぽい色。エフィルさんは金っぽい色。フィーネは白っぽい色。

カラフルだなあとか初めは思ったが、水に映った自分を見たとき青っぽい黒色だったのでこの世界では当たり前なのだろう。他の村人もカラフルだったので少なくともこの一家だけがカラフルなのではないことが確定した。

でもほかの村人は基本的に一家同じ髪色なんだよな。一家ごとに色は違うから結局カラフルだけど。


そういえば、初めて会った時ぶっきらぼうだった彼ら一家は、実はとても人思いだった。

この世界では病人はとにかく寝させるのが良いとされてるらしく、見知らぬ人がいては寝にくいだろうという事でさっさといなくなったのだとか。ちょっとカルチャーショック。こちらとしては落ち着けたからよかったけど。


この世界に来て二日目にはいろいろ質問されたけど、ほとんどわかりません。覚えてません。でやり通した。記憶をまだ覗いてないから嘘は言ってない。

結果、魔物に襲われてショックで記憶をなくしたかわいそうな子供。という位置づけになった。

こちらとしては、何もわからないことをごまかせるのでラッキーだ。


グラース一家が僕を拾ったのは偶然で、冬越しのために森に薪を拾いに行ったとき見つけたんだとか。万が一見つけられてなかったと思うとゾッとするけど、結果オーライってことで。


三日目までは体調の様子見という事で基本的にベッドに居させられた訳だがすごい暇だった。

なにしろやることがない。前の世界だったら本やらゲームやらで時間つぶしできたのに。

記憶を覗くのは、結局トラウマ再発が怖くて保留にしたまま。

そういえば夢トラウマは最初の日だけであとは見なかった。なんで急に再発したのやら。

ちょっと話題がずれたが極めつけはこの体、とても体力がない。まあ五歳児ぐらいの体力があれば何かできるだろうと思っていたのだが、甘かった。


元ラング君が碌に食べ物をもらえなかったせいか、筋肉が少ない。たぶん三歳児くらいの体力しかない。

20歳の感覚で何かをしようとすると全くと言っていいほど何もできなかった。二日目に全力でラジオ体操していたらいつの間にか倒れて気絶してしまったほどだ。

シェーネに見つかるまで気絶してた僕はそのあと三人に結構な勢いで怒られた。

でも三人に内緒でちょっと筋トレしてるし、最近は御飯もきちんと食べれるので三日で体がちょっとだけ強くなった気がする。


話が戻るけど、退屈とはいっても家の手伝いが少ないシェーネはちょくちょく様子を見に来てくれたのでずっと暇ではなかった。様子を見るついでにおやつをくれたり、手伝い中に起こったことをベッド横の椅子に座って報告してくれたりする。

グラースとエフィルが仕事で忙しいのでシェーネも家事が終わるとやることがなく暇らしい。

5歳で家事全般こなせるってすごくない?

最初は怖くて会話もできなかったし、目を見ることすらできずに縮こまっていたけれど、何回も来てくれるうちに慣れてほんのちょっとだけなら目を見て挨拶はできるようになった。

元々子供は好きだし僕の結婚願望は子供好きから来ているといっても過言ではない。自分の子供と遊びたいだけであって決してロリコンではない。

シェーネが可愛いから見ていたいという下心パワーも一役買っていると思う。


......まあ名前は言おうとしても喉から上に出ないし、挨拶ぐらいしかできないのだけど。


主にシェーネが喋ってただけだったけど、話しているシェーネの表情がころころ変わって僕も楽しかった。

ところでこれは会話したと言えるのだろうか………


あと料理がおいしかった。自然!って感じのが多かったけど。肉を秘伝のタレっぽいのに漬けたやつを焼いただけの料理とか。ちなみに料理はエフィルとシェーネで作っているのだとか。シェーネさんマジ天才。


そんなこんなで三日過ぎ四日目の朝。この日はドアをノックする音で目が覚めた。


「はい、起きてるけど。グラース?」


ここには『さん』を付ける文化がないらしく、名前も必然的によびすてになる。

毎朝体調を見に来るのはグラースだ、体のあちこちを触っては検診していく。

しかし今日は予想外の人物が入ってきた。


「はずれ、わたしよ!」


ドアを開けて元気よく入ってきたのはシェーネだった。

珍しい、この時間帯はエフィルと一緒に朝御飯を作っているはずだけど。


「おはよう、シ、シェ………」


名前を呼ぼうとしたものの途中からが喉の奥につっかえて出てこない。どうしよう。


口が半開きの状態で固まっている僕を見かねたのか、シェーネが口を開いた。


「君はいい加減わたしの名前くらい言ってみなさいよ。まあいいわ、いつものことだし。おはよラング」


朝の挨拶とともに表情に出る、まぶしい笑顔がたまらなくかわいい。これだけで一日ごはん食べずともやっていけるのではないだろうか。僕が試したらたぶん倒れて怒られる。


そういえば一家には二日目に女性が苦手なことをグラースに伝えてもらった。記憶ないのに何で?と聞かれたが、「なんかよくわかんないけど怖い」でごゴリ押しした。子供強い。

でも記憶喪失の振りもなかなかめんどくさい、すでにメッキがはがれてそうだけど追及してこなかったからとりあえずこのままでいいかな。

閑話休題。


シェーネは名前を呼ばれないのを気にしているが、女性の前でなければ名前くらい言える。でも目の前にいるとなぜか言えない。ここ三日練習したけど対面は無理。

そんな僕の思いは知らず、シェーネはビシッと僕に指を向け、

「ラング!今日は一緒に枝拾いに行くわよ!」

こう言い放つのだった。






早かったでしょう。

ちなみに次は書き溜めしていないのでもっと遅くなります(白目)


次話:かわいい彼女とドキドキ枝拾いwith子供達

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