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異世界で花婿修行  作者: 叶陽月
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プロローグ

 本居一ほんいはじめ、20歳。

 僕は女という種族があまり好きではない。むしろ怖い。

 

小学生の頃近くの公園で友達と遊んでいたある日の話である。

最近公園でよく見かける大人の女性が近くに来て「そこの僕、ちょっと猫を助けるのを手伝ってほしいんだけど」と言った。猫好きだった僕はそんな言葉にホイホイつられてついていった。


その後に起こったことは思い出したくもない。


公園の近くにある女性の家に連れ込まれ、殴られた。

何回も何回も何回も、僕が泣き叫んでも殴られたり蹴られたりした。恐らく女性の近所の家の人たちが気づかなければ僕は死んでいただろう。通報して警察が女から僕を引きはがした時には僕は死にかけだった。

それから一年ほど、女性を見ると体が竦んだ。

女性の目を合わせると殴られた時の女性の狂気に満ちた目を思い出し殴られたところが痛んだ。

女性の声を聴くと吐き気がしていた。

眠ると必ず殴られる夢を見て飛び起きた。


幸いにも母親には拒否反応が起きず一年かけてトラウマを克服したが、いまだに女性が怖い。

もちろん彼女なぞできるわけもなく、小学生から今まで手を繋いだことすらない。

いつかは結婚もしたいし、彼女が欲しいなとは思っていたが怖くて避けるので必死だった。


高校、大学に入っても女性に声をかけられず、話しかけてきても恐怖で声が出せず会話が続かない。


しかし今日!成人式。そして僕の20歳の誕生日!

今日こそお酒の力を借りて女の子に話しかけるぞ!と息巻いて一升瓶を会場で一気飲みした。



...死にました。恐らく急性アルコール中毒です。

食事開始から一分もたたずにぶっ倒れ、救急車で運ばれたが死亡。

新聞の見出しになるなら「成人式で興奮した大学生が一気飲みで死亡その場騒然!」こんな感じでしょう。

ああああぁ!恥ずかしい、恥ずかしすぎる。

いや、もうすでに死んでいるのですが恥ずかしすぎる。しかも目的の女の子に話しかける、ができてない!


死んでも死にきれない。

神様、お願いします。どうか生き返らせてください。

長い間の夢だった女の子と手を繋ぎたいです。


それから、キスもしたいです。

結婚もしたいです。

自分の赤ちゃんなでなでしたいです。



結婚の為ならどんな厳しい試練も乗り越えて見せますから!


神に祈ってたら願いが叶ったので頑張ります。神に祈りを!

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