幼なじみの君は…
この度、初めての投稿をさせていただきます!
キンモクセイと申します。
この話は、いつも一緒にいると分からないこともあるというのを読み切りの1話で、表現したく書いてみました!
読んでいただけたら嬉しいです!
無事に高校生になった俺、花井修一は賑やかなこととか薔薇色の高校生活は望まず、ただ静かな時間を過ごしたい人間だ
学校の帰り道も出来れば1人でゆっくり帰りたいのだが、幼なじみであり高校の同級生でもあり、クラスメイトでもある関口美穂がそれを許してくれない。
今日も下校時間がやってきた。
俺はクラスメイトに軽く挨拶をしたら学校を出て、歩いて5分ほど経つと小川の上の橋にたどり着く。その周りは田んぼと家が何軒か歩くらいの静かな田舎だ。俺のお気に入りの場所でもある。
なのにいつもその頃、美穂が後ろから走ってくるのだった。
「しゅうちゃん!待ってよ〜!」
ほら、今日も来た。俺は振り返ることなくそのまま歩く。走ってくる美穂が段々近づいてきて、息をきらせながら俺の横へ並ぶ。
「お前、いい加減1人で帰れよ」
中学生になってから俺は美穂と一緒にいるのが嫌になってきた。正直、鬱陶しい。
「えー?だって、1人で帰って何かあったら大変じゃん!」
私が!っていうのが普通のながれだと思う。そうしたらこいつ結構、自意識過剰じゃね?なんて思えるのにな。
「しゅうちゃんが!」
そう、こいつの心配は自分じゃなくて俺の心配をしているのだ。お姉さんぶっているこいつが俺は気に入らない。
「俺は大丈夫だから一緒に帰らなくていい」
「そんなこと言わないでよー…それに!私はしゅうちゃんと帰りたいのっ!あっ!そういえば、この前の…」
始まった。美穂は俺の話なんて聞かず一方的に話してくる。そのせいで、俺の静かな時間は台無しだ。
そんな高校生活を過ごして2ヶ月経った昼休みに美穂が悲しい顔をして俺の席に来た。
「しゅうちゃん…私、この前のテストの結果が悪すぎて、今日は補習をすることになったので、一緒に帰れません…」
俺は読みかけた本にしおりを挟み閉じた。
「かなり、どーでもいい報告だけど、何点取ったら補習になるわけ?」
「……2点」
俺はその数字を聞いて吹き出してしまった。
「100点満点中で、その点数は…補習になっても仕方ないだろ」
「だ、だよね」
がっくと頭を下げ、ため息をしながら美穂は自分の席に戻った。俺はさっきまで読んでいた本をもう1度開き読み始め、久しぶりに1人で静かに帰れることに喜びを感じていた。
放課後。
いつものように友人に軽く挨拶して学校をでて、いつものように歩く。けれどあの橋からはいつものようにではない。ゆっくりと美穂のいない帰り道を踏みしめて歩いて行く。
「静かだな…」
橋の下から、ゆっくりと静かに水が流れる音がする。
美穂がいる時はうるさくて聞こえなかった音だ。そのまま、橋を渡り歩き進める。
さぁーと草に風が触っていく音、どこからか香る花の匂い。いつもは感じなかったものが一気に俺の中へ入っていく。幸せだ。
これが俺の望んでいた生活。
「………」
幸せな、はずなのに
どうしてだろう…?
ゆっくり歩いていた足はどんどんスピードを落とし次第には歩くのをやめてしまった。
何かが足りない。
足りないんだ。
俺は振り返り、来た道に顔を向ける。
「こっちには何も用はないはずなんだけどな…」
けれど勝手に足が学校の方へ動き出す。
ゆっくりゆっくり動いていた足は段々早くなり、気がついたら俺は学校へ走り出した。
学校の昇降口に着く頃には息がかなり上がっていた。自分でも何をしているんだろうと思う。タイミングよく美穂は靴を履き替えるとこだった。
「しゅうちゃん?どうしたの?忘れ物?」
美穂は革靴を履き、俺のもとへ駆け寄ってきた。俺は直ぐに美穂の手をとり
「でかい忘れ物した。帰るよ」
とだけ言い、いつもの帰り道を歩き出した。
握りしめた美穂の手は、俺なんかよりすごく小さくて可愛らしかった。
さっきまで走っていた俺の呼吸は、まだ乱れたままだったが今、美穂に伝えたいことがあった。
「美穂…正直さ…鬱陶しくて俺の理想をぶち壊しにされた挙句の果てに、男として見てくれなくて、すごくイラついたことがたくさんあったんだけどさ…」
俺は足を止め、ゆっくり振り向き美穂の顔を見る。息を整えて一番伝えたかった言葉を口にした。
「寂しくはなかったよ」
それだけ言ってまた俺は、美穂の手を繋いだまま歩き出す。俺の体温が上がったのか、美穂の体温が上がったのかは分からないがさっきよりも手が温かくなった気がした。
読んでいただき、ありがとうございましたっ!
これからも、色んな短編を書いていきたいと思っているので、また読んでいただけたら光栄です!




