プロローグ
どうしても赤髪の少年が登場するお話が書きたかったという作者の勝手な意向から生まれた小説です。
和製ロミジュリを目指して頑張ります。
時を超えて恋をする2人を温かく見守ってください。
宜しくお願い致します!
赤い髪から覗く瞳が伏し目がちに向けられる。
私と向き合う少年は泣き声混じりに言った。
「また、会えるよね?」
それは…、言いかけて止めた。
最後くらいは大好きなあの笑顔を見たかったから。
「…うん。会えるよ!」
そんなに大声を出さなくていい距離なのに、私は喉がひりつくほど声を張りあげた。その返事を聞いて満足したのか少年はふわりとあの笑顔を私に向けた。
―― まるで夏の空に水をかけたような笑顔。
会える確率なんて0に等しかったのに、会えると約束してしまった。
「……絶対に会おうね…!約束、約束だからね…」
名残惜しそうに私の手をじっと掴んでいた彼が最後にささやくように言った。そうして、そっと離される手。
ばいばい、またね。絶対…会おうね…。
手のひらに残る温かさに、彼の笑顔に、彼自身に。
心の中で、もう一度強く誓った。
小さな少女と赤髪の少年との叶わぬ約束。
―――何百年と経ち、少年少女が何回生まれ変わろうとも叶うことのない約束――――。
叶ってはいけなかった約束の話。