スカイ・クロラ 森博嗣
森博嗣の作品を初めて読んだのは『すべてがFになる』だったように思う。
そのとき感じたのは、ずいぶんと理系な小説だなあ……ということだった。あまり詳しいことはいわないが、舞台といい、主人公たちの設定といい、存分に理系の設定を活用していた。そのイメージからすると、『スカイ・クロラ』はかなりかけ離れた作品だった。
私はあらすじ買いすることが多いとこの前書いたが、この作品は有名だったのでちょっと読んでみようくらいの気持ちで買ったものです。
『すべてがFになる』も面白かったし、同じ作者なら間違いはないだろうという憶測でした。
まあ目を通してみてびっくりしましたね。
なんというか、不思議な世界観。
ちょっと村上春樹を感じさせる、無感動な主人公。そういうキャラは嫌いじゃないのですが、あらすじを読んでいないとさっぱり世界観が理解できないくらい不親切な説明しかなかったのです。
というか読んでいても理解できないというか。
まだ続編があるということなので、そちらも読んでみたいと思います。が、とにかく世界を描写しようという試みがあったような感じでした。
あんまりいい書き方はしていませんが、私はこの作品とても気に入っています。
たしかに文章はちょっとあれかなあ……というところもあったのですが、それ以上に魅力あふれる世界が広がっていました。作者がどんなエピソードを用意して待っていてくれてるのか、この目で確かめようと思います(ジャングルに挑むレポーター風に)。
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ストーリーってありましたか?
基本的になにをしているって、ボスを殺すところくらいしか大きなイベントがなかったように思います。
戦争がショーとして成り立っている世界だなんてひと言も書いてなかったですよ。
それを除くにしても誰が戦ってるんだ?
キルドレってどういう経緯があって作られたんだ?
というような疑問は絶えません。
ひたすら死と記憶についてぼんやりと考えをめぐらす主人公は、いったい何者なんでしょうか。
もっと知りたい、というのが正直な感想です。
まあ、これだけではちょっと物足りないので、絶対に続編を読みます。できるだけ近いうちに。
感想は短いですがこの辺で。
いつかもっと長くかける日が来ることを願って。