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夜は短し歩けよ乙女   森見登美彦

 こんばんは、しんどうみずきです。二日続けての更新なんて珍しいこともあるもんですね。

 というのも私が昨日の時点で二冊読み終わっていただけの話しなんですけどね。まあ、多いぶんには文句もないでしょう(たぶん)。


 さてさて、この前紹介した『きつねのはなし』ですっかり森見先生の虜になった私ですが、これぞまさに真骨頂というのでしょう、和風コメディチック恋愛ファンタジーの傑作『夜は短し歩けよ乙女』を紹介したいと思います。


 このタイトル、ご存知のかたは多いでしょうが元ネタは「命短し恋せよ乙女」という一節で有名な詩なんですね。

 「ゴンドラの唄」というタイトルだったと記憶しています。

 こちらも素晴らしい詩なので一度目を通して見ることをオススメします。

 たぶん三十秒くらいで読み終わるはずです。ちなみに私は暗唱できます。自慢してすみません。でも、なにか詩の一節でもスラスラといえるのってかっこいいですよね。

 英語圏じゃその役割はシェイクスピアが担っているんでしょうか。

 私は "O Romeo, Romeo, wherefore art thou Romeo?"

 くらいしかソラで言えませんね。いま絶園のテンペストというアニメがやっていますが、私は漫画版のストーリーの巧みさに感動し、毎週楽しみに視聴しております。

 あれもシェイクスピアの引用を多用していますね。

 元ネタの雰囲気をうまく活用できる作品って素敵だと思います。その点、『夜は短し歩けよ乙女』は十分に成功しているのではないでしょうか。



 余計な話が長くなりましたが、この作品の魅力はなんといっても軽快な語り口と想像力全開の世界観と、それからオモチロイキャラクターたちがからみ合って起こす化学反応だといえます。

 それに加えて独特すぎる文体。

 よくもまあこんなに言葉を知っているものだなと感心しながら読み進めました。

 時々吹き出してしまうようなセンテンスを入れてくるのに注意です。電車のなかで読むのはあんまりオススメしませんね。ひょっとすると乗り過ごしてしまうかも。


 最近私は、ちょっと濃い味の作品に惹かれているみたいです。

 癖のない作品もそれはそれで楽しいのですが、一種のマイブームみたいなもので、独特な世界観があるものほど気に入っているのだと思います。

 作品全体でどのような雰囲気を醸し出すのか。

 それってすごく大事なことだと思うんですね。私が目指しているのも、文章全体から独自の世界がにじみ出ているような作品です。

 『夜は短し歩けよ乙女』は、そういう点でこれ以上ないお手本になります。

 最後に、恋っていいな、とほっこり出来るのも高評価です!








ーーーーここからネタバレ有りーーーー









 なんというかもう、話がうますぎましたね。

 最初こそ意味不明なくらい破天荒な話だったのに、文化祭の時なんてすべてが一点に収束していく感じがたまりませんでした。

 本人はご都合主義だと弁明していますけど、ファンタジー世界なのでまあいいんだと思います。

 それにしても、よくもまああんなこと考えられるなあと。

 いくら京都を舞台にしているからってはっちゃけ過ぎじゃないでしょうか。

 けど、なんといっても最後が美しかったです。


 冬のある日、あちこちで蔓延する超強力な風邪。

 そしてヒロインの乙女は、悲運続きだった先輩のもとを訪れ、喫茶店デートの約束を取り付ける。

 そこに行き着くまでの過程も暖かく、冬の描写との対比が心にしみました。

 時期が冬至だというのにも注目しなければいけませんね。

 夜の最も長い日、歩きまわる乙女です。

 でもでも、最終的なテーマはやっぱり「恋せよ乙女」なんですよ。だから元ネタを知ってこそ楽しみも二倍になるはずです。



 私は基本的に感想で「楽しかった」と述べるのはあんまり好きじゃないんですが(面白いものであって、楽しいもんじゃないだろうというちんけな考えからです)、この作品においては間違いなく楽しかったという感想がふさわしいです。

 またいつでも、この世界に戻ってきたいなあと思わせてくれる小説でした。

 こういう小説を書きたいものです。

 さっそく『四畳半神話大系』も買ってきてしまいました。楽しみです。

 それでは、また!

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