スカイ・イクリプス(Sky Eclipse) 森博嗣
こんにちは、しんどうみずきです。
長いこと続いた(というほどでもないですが)スカイ・クロラシリーズの幕を閉じる時がやって参りました。
映画版もあるようですが、それは隅においときましょう。原作は原作、映画は映画で楽しむのが賢いやり方です。
さて、本作は唯一の短篇集となっています。
番外編といったほうがいいかもしれないですね。今まで一人称で語られてきた物語が三人称となり、数々の伏線とストーリーを説明するための作品集となっています。
普通の短編として読んでも、十分にシリーズ全体を通しての雰囲気を味わうことが出来るはずです。
儚くも美しい、その感触を確かめてみてください。
本編の『ナ・バ・テア』から『スカイ・クロラ』までは読んだけど……って人にはぜひとも読んでもらいたいですね。
これがあってこその完結です。
疑問に思っていた様々な謎も解決することでしょう。
それだけでなく、登場人物たちに対する理解もずっと深めることができます。
この本を読まなくしてスカイ・クロラは語れないといっても過言ではありません。私のイチオシなので、ぜひ最初の一巻だけでも手にとって眺めて欲しいと思います。
そしてできることならば、静かで、リラックスできる環境でページをめくってください。
小説の楽しいところ――ストーリィだけじゃなく、文章からにじみ出る世界観――を堪能できると保証します。
それでは、以下、私の感想に移りたいと思います。
ーーーーここからネタバレ有りーーーー
なんといっても最後にしびれました。
『スカイ・アッシュ』ですね。
キルドレでなくなったクサナギ(カンナミ)が約束通りにフーコの店を訪れる話です。
フーコとの逃避行はどこかファンタジーじみていて、ほんの小旅行に出ているような非現実感が漂っていたので、その感じに流されて店を開くというのも夢物語かと思っていたのですが……。
その後、フーコがクサナギから資金援助を受けたような描写もありまして、無事に夢を叶えることができたみたいです。
『スカイ・アッシュ』では最初、主人公がどこへ向かっているか描写されません。
それだけに、フーコの店を訪れるのだと知った時には不覚にもグッと来てしまいました。
お互いに叶わない夢だと思っていたからこそ、最後の最後に大きな感動を与えてくれたのでしょう。
ぜひ、すべてを読み終えてから、目を通して欲しい作品です。
これなくしては終了の笛が鳴らないサッカーの試合みたいなものです(よくわかりませんね)。
とにかく、ここまで読んで一作です!
シリーズを通していい味を出しているのが整備工の笹倉ですね。
パイロットにとって、飛行機の次に大事な存在かもしれないのが腕のいい整備工です。
彼だけは、クサナギとカンナミの正体に感づいているのかもしれません。
パイロットとは違った生き方、職業である彼の役割は「大人」であることなのでしょう。
大人になれないキルドレと、大人な笹倉と。
それでも信頼関係を築くことができるのは飛行機というツールでつながっているから。
そういう登場人物たちの立場を考えてみると、さらに作品に深みが出てくるように思います。
そして、飛行機に対するあこがれが増します。
私は視力が良くないのでパイロットにはなれそうにありませんが(というより、考えたこともなかったです)、ちょっとだけ体験してみたいなと思ってしまったり。
ジェットコースターも苦手なので一回転している間に気絶するか、乗り物酔いで早々にダウンしそうです。
ちなみに、旅客機のなかで『スカイ・クロラ』を読みなおそうとワクワクして行ったら案の定、酔いました。飛行機は外の景色を眺めるか映画を見るか寝るに限りますね。
以上、スカイ・クロラシリーズのレポートでした。
基本的にどこから読み始めてもいいのでしょうが『スカイ・クロラ』か『ナ・バ・テア』から読むのがいいでしょう。
『スカイ・イクリプス』だけは最後に読むべきです。これだけは注意してください。
それでは、またお会いしましょう。




