都会のトム&ソーヤ(9)前夜祭 内人side はやみねかおる
前作に引き続き『都会のトム&ソーヤ』シリーズです。
最高のゲーム制作を目指して頑張る二人が織りなす物語も、ずいぶんと長いシリーズになってきました。
はやみね先生の場合には、長すぎてボツになる原稿がかなり多いとのことらしいので、いずれその辺の短編も出て来てくれることを祈ります。
このシリーズの魅力をちょっと語らせてもらいます。
まず、はやみね先生のほとんど全作品に共通しているキャラクターの魅力。主人公二人と、その脇役とがうまく重なり合って、あちこちで物語を生み出しています。
メインストーリーだけでなくサブプロットがうまくリズムを作っているんですね。
しかもどこかの漫画みたいにやたら長い過去編とかサブストーリーじゃないので、本編のドキドキ感を損なうことなく読み進められます。
まあ、個人的には『怪盗クイーン』シリーズのキャラも好きだったりします。
そういえば、はやみね先生の作品はすべて同じ世界観で統一しているそうです。それぞれの作品のストーリーだけでなく、全作品をまたぐ共通の物語がある……なんだかワクワクしませんか?
私は、します。
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今回は職業体験編!
ということで、内人と創也は別々に行動することになります。
かたや図書館へ、かたや竜王グループのコンビニへ。
あらすじはこんなところにして、好きな子といっしょの職場で働きに行くとか、たまったもんじゃないですね。
ウキウキが止まらないです。詳しく分析すると、学校というオープンスペースではなく、職場先といういわばふたりきりの世界に浸れるわけですよ。
教室ではなく、学外で会ったりするとなんだか嬉しくなるのと同じ理屈ですね。
いつもとは違う一面が見れるんじゃないかという高揚感あり、自分をアピールするチャンスでもあり……といいつつも仕事はしなきゃいけません。
ミステリ作家というだけあって、常に事件がからんで来るのも面白いですね。
私の持論として小説には謎がないとつまらないというのもありますが(常識かもしれませんけど)、いつもよく考えるものだなあと思います。
今作にははやみね先生のメッセージが詰まっていたように思います。
仕事とはなんなのか、働くとはなんなのか。
将来をぼんやりと考えている内人と、明確に未来がきまっている創也。
その辺の対比を上手く入れながら将来の夢について考えてほしい。そういったメッセージを、私は感じました。
児童作家がやらなければならないこと。
それは子供に夢を与えることだと思いますが、それだけじゃなく、大人としての教訓も伝えなければならないということですね。




