歪笑小説 東野圭吾
東野圭吾は文章をよく見てみると、ものすごいわかりやすく書かれているってことに気がつきました。
いわゆる人を選ぶような小説ではなく、万人受けする文体ですんなり読み進めることができます。帰国子女の友達も「すごく読みやすい」と感想を漏らしていました。
それでいて何作も映画化、ドラマ化されるだけの重厚な小説をかけるのですからものすごい技量です。
私は『容疑者Xの献身』に感銘を受けてわざわざ映画館まで足を運んでしまいました。
ガリレオのドラマでは柴咲コウがお気に入りだったりします。
さて、そんな東野圭吾がシリーズでだしているかなりスパイスのきいたユーモア作品が『歪笑小説』です。その前にも『黒笑小説』『毒笑小説』『怪笑小説』の三叉品があるのですが、どれも皮肉たっぷりの作風となっています。
今回は主に小説業界を舞台にしており、そのなかで渦巻く人間関係や作家の苦悩などを面白おかしく短編にまとめている感じです。
思いっきり本格的な作品も多いなか、ちょっと箸休めをするのに最適な小説かもしれません。
とにかく肩の力を抜いて適当に笑って読める――そんな小説と見せかけて、意外と胸にくる話も織り交ぜていたりして、とにかく侮れません。
登場人物のなかには本物の作家をモチーフにしたのだろうキャラクターもいて、そういった仕掛けを読み解いていくのも楽しいです。
東野圭吾ってちょっと重たそうだなあ……なんてイメージを持っている人に読んでもらいたいですね。
小説好きならさらに楽しめる一作に違いありません。
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東野圭吾はほかにも『名探偵の掟』とかでもふざけた作品を書いているわけですが、私はそういうのが大好きだったりいします。
フィギュアスケートのエキシビジョンマッチのような気楽さで読めますからね。
作中のキバタクことおそらくキムタクは雰囲気そっくりでなんか笑ってしまいました。絶対口調まで意識して書いてますね、あれは。
唐傘ザンゲってどんな作品書いてるんでしょう……それから撃鉄のポエムも読んでみたい気がします。
シリアスっぽいハードボイルドと見せかけてシュールな小説って……。
あえてしっかり書かないところも、読者の想像力を十分に生かすための仕掛けなのかもしれませんね。
ここで小説書いていても感じることですが、世のなかにはびっくりするほど上手い人や才能にあふれた人なんかがいて、自分はいつまでたっても追いつけないなあと思うんです。
たぶんどれだけ練習して努力しても一生かなわない人だって数え切れないほどいます。
けど、たとえそうであっても小説の評価は絶対的なものではありません。
どんなベストセラーでも嫌いだという人は必ず存在します。逆にどんなマイナーな作品でも好きな人はいてくれるのです。
数々の作家が登場するなかで、そんなことをぼんやりと思ってました。
撃鉄だって、キバタクに気に入られてますしね。
というわけで、若干ペースアップしなければと思いつつここらで失礼します。




