サマーウォーズ 岩井恭平
同名映画のノベルズ版ということで、ちょっと勉強にもなるかなあと思いながら読みました。
映画のほうはいつだったかテレビで見たのですが、よくいわれている通りデジモンの映画と似ていて、久しぶりに興奮しちゃいました。
オメガモンかっこいいです。
さてあの映画の見所の一つが電脳空間でのアクションだったと思うのですが、どのようにそれを文章で表現しているのか――という部分に着目して読んでみました。
……結果は自分に敗北。
どういうことかと申しますと、映像のイメージが残り過ぎていて文を眺めていても脳内で勝手に補完、再生されてしまうんですね。
もちろん作者さんの腕もあるとは思いますが強烈な先入観のおかげで何一つ困ることなく読めてしまった……。
これじゃ戦闘描写テクニックもくそもあったものじゃない。
というか電脳空間をどう表現したのかっていうことも含めると、ほとんど映画で補えてしまう。
後になってよくよく考えてみるとやはり映画には映画の良さがあって小説には(以下略)なのですが、この作品においては映像をともなった媒体の方があっているのかなあと思います。
ひとつには電脳空間の魅力を十分に伝えられること。
そして、もうひとつは大家族の描きわけが簡単であること。文章と名前だけだと特徴を把握しにくいですが、絵に描いてあれば分かりやすいですからね。
文章などに関してはラノベ作者なだけあってすいすい読み進めることができるものでした。
どこか既視感のある文体ではありましたが。
原作をかなり尊重していたので、もうちょっと自由にやらせてあげても良かったんじゃないかなあとは思いましたが、独立した読み物としても十分に面白かったです。
ライトノベルのいいところは女の子を可愛く描写できるところだなと思いました。
なつきちゃん素敵です。
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暴走したプログラムが世界を滅亡させかける……というあらすじはSFチックなのに、そこへ田舎の大家族をぶつけてきたあたりが心憎いです。
現代の社会におけるオンラインとオフラインを巧みに対比させながら物語を進めていくなんて素敵ですね。
ケチをいえば主人公である健二があっさり暗号を解けてしまうところ。
能力的には申し分ないのかもしれませんが、たかが高校生が暗算で解けてしまうパスワードになんの価値がありましょう。
それからOZのアバターの操作方法など、もっとこだわってほしいところはたくさんあります。
せっかく小説なんだからもっとじっくり設定の解説をしてもよかったのではないでしょうか。
甲子園で熱投を演じている我が子を応援する女性陣は、世界を救おうとしている男達に比べれば邪魔くさい。
対比させるなら同じくらいの重大さを持たせてほしいですね。
あとは、あの長さでキャラが多すぎてしまった。
設定上仕方ないことですが、そこをどう書きわけるかが作者の腕の見せ所と期待していたのですが、案の定無理でしたね。
脳内補完がなかったらまず混乱してます。
とはいえ、映画をもう一度見たくなりました。
それぞれに良さがあり、それぞれに向いたストーリーがある。
大事なことを気付かせてくれました。




