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最弱の俺が時間制限付き最強能力を手に入れた件 ~影の侵略とクラスメイト救出のタイムリミット~  作者: Twilight


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第3話:正体露見!?――逃げる英雄と強制トレーニング

教室は、自習時間の静かなざわめきに包まれていた。


 俺は椅子にもたれかかり、骨の奥に残る疲労を感じていた。

 そのまま眠りに落ちそうになった――そのとき。


 影が、目の前に落ちる。


 トン、トン。


 片目だけ開ける。


 そして――一気に目が覚めた。


 そこにいたのは、ディークシャだった。


 鋭く、探るような視線。


「何してるの、アッシュ?」


 頭の中が一気に回転する。


 全部を話すわけにはいかない――まだ。


 俺は無理やり笑顔を作った。


「いや、ちょっと……昨日、夜中の二時まで映画見ててさ。眠くて死にそう」


 ディークシャはわずかに目を細める。


 疑っている。


 だが、その瞬間――


 ゴゴゴゴ……!


 床が揺れ、窓がガタガタと音を立てた。


「地震!?」


 反射的に机の下に潜り込む。


 でも――違う。


 この揺れ、何かおかしい。


 規則的だ。


 まるで、巨大な何かが近づいてくるような――


 ドォン!!


 次の瞬間、教室の壁が吹き飛んだ。


 現れたのは、異形の怪物。


 人型だが歪んだ姿。

 不気味な笑みを浮かべ、体からバチバチとエネルギーが走っている。


 そして――一直線にディークシャへ突っ込んだ。


「ディークシャ、危ない!」


 俺は叫ぶ。


 だが、その前に――


「下がれ!」


 ラームが飛び込んだ。


 炎をまとった彼が、二人の間に割って入る。


 しかし――


 怪物の一撃が、ラームの胸を直撃した。


「がっ……!」


 吹き飛ばされるラーム。


 地面に叩きつけられる。


「アッシュ!」


 ディークシャの叫び声。


「ラームを保健室に連れてって!回復ポーションがある!」


 考えるより先に、体が動いていた。


 ラームを担ぎ上げ、全力で走る。


 だが、保健室の前に着いた瞬間――


 違和感が走った。


 静かすぎる。


 廊下には誰もいない。


 教師も、生徒も、誰一人。


 ……おかしい。


 何かが起きている。


 俺はラームをゆっくりと寝かせ、ポーションを取り出した。


 黄金の液体を傷口にかける。


 呼吸は安定した。


 だが――意識は戻らない。


 ……ここに置いておくのは危険だ。


「――ワープ」


 小さく呟く。


 短距離転移を発動し、ラームを自宅へと送り届ける。


 これで一つ、心配は減った。


 残るは――教室の怪物。


 作戦を考える。


 タイムドックは使えない。

 フルパワーは五時間しか持たないし、まだ使えない能力も多い。


 なら――


 自分の力で戦うしかない。


 俺は戦闘用の姿に切り替える。


 黒いパーカー。

 そして、正体を隠す金色の仮面。


 タイムドックを使わないことで、魔力の色は自然と黄金に変わる。


 最近気づいた――ちょっとした特典だ。


 ……よし。


 新しい力を試す。


 集中する。


 四つの状態異常を同時に発動。


 麻痺。

 凍結。

 燃焼。

 睡眠。


 ――《ステータス・スペル》。


 戦場へ戻ると、怪物はすぐにこちらを見つけた。


 そして――突進。


 歪んだ剣が、真っ直ぐ俺の頭を狙う。


 横へ回避。


 空中で魔法を放つ。


 黄金の嵐が、怪物を包み込む。


 だが――


 怪物はニヤリと笑った。


「ドックを持たない英雄か」


「弱いな。そんな魔法で俺に勝てると思っているのか?」


 冷たい声。


「一撃で終わらせてやる!」


 ――怖い。


 体が震える。


 そして――


 逃げた。


 そこからは、完全なカオスだった。


 教室中を駆け回る。


 黒板が砕け、机がひっくり返り、窓ガラスが割れる。


 まるで――現実版トムとジェリー。


 必死に避けて、逃げて、転移して。


 ただ、生き延びるために。


 その最中――


 ふと、目に入った。


 机の陰に隠れながら、笑っているディークシャ。


 あの無表情な彼女が――笑っていた。


 ……なんで今?


 しかも――ちょっと可愛い。


 だが、そのとき。


 気づいた。


 怪物の動きが、鈍くなっている。


 足元に氷が広がる。


 腕が震えている。


 そして――


 ドサッ。


 倒れた。


 ……効いた?


 次の瞬間。


 怪物の動きが完全に止まり、眠りに落ちる。


 そして――消えた。


 俺はその場に立ち尽くし、荒い息を吐く。


 ディークシャが近づいてきた。


 スカートの埃を払いながら。


「助けてくれてありがとう」


 小さく頷く。


 そして――


 眉をひそめた。


「……ちょっと待って」


 視線が、俺の胸へ。


 ……嫌な予感。


 視線を追う。


 ――学生証。


 やばい。


 外し忘れてた。


「アッシュ……!?」


 驚きと笑いが混じった声。


 ……もう誤魔化せない。


 俺は頭をかいた。


「えっと……サプライズ?」


 ディークシャはため息をついた。


 でも――少し笑っている。


「放課後、付き合いなさい」


 口調が一気に厳しくなる。


「本気の戦闘訓練よ。もうあんな逃げ方は禁止」


 ……やばい。


 さらに続ける。


「それと、私とラームの力は秘密にして。氷と炎の英雄は公にしちゃダメ」


 俺は軽く敬礼した。


「了解。それと、ラームは大丈夫。時の英雄が家まで送った」


 ディークシャが首をかしげる。


「時の英雄?」


「なんであなたにはドックを渡さなかったの?」


 俺は苦笑した。


「頼んだんだよ。力は少しだけでいいって。責任は軽いほうがいいし」


 一瞬――


 彼女の表情が柔らかくなる。


 だが、すぐに戻った。


「残念ね」


「あなた、トレーニング相手に決定だから」


 ……終わった。


 完全に、自分で地雷を踏んだ。


 もう逃げられない。


 それでも――


 なぜか、少しだけ笑ってしまった。


 ……悪くないかもしれない。


 【つづく】

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