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最弱の俺が時間制限付き最強能力を手に入れた件 ~影の侵略とクラスメイト救出のタイムリミット~  作者: Twilight


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第2話:加速する時間――成長と正体の危機

 アイスクリームの冷凍ケースから聞こえる、あの聞き慣れた音が響いた瞬間――俺は、間に合ったと確信した。


 俺は空間をパーカーのように身体にまとい、タイムドックの転移能力を通常状態でも発動させる。


 現実への移行は、驚くほど滑らかだった。

 まるで――俺だけが知る秘密の抜け道のように。


 バタースコッチのコーンを妹に差し出すと、彼女はノートから顔を上げ、ぱっと笑顔を浮かべた。


 その無邪気な笑顔は、どんな勝利よりも価値があった。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


 目を輝かせながら、妹が言う。


 家の中に入ると、リビングのテレビが騒がしくニュースを流していた。


『謎の仮面ヒーローが地元の高校を救出。現在、当局が調査中――』


 俺は何事もない顔でソファに座る。


 外見は冷静。

 でも、心臓はドラムのように激しく鳴っていた。


 母さんが心配そうに俺を見る。


「怪我してない?」


「してないよ」


 首を横に振る。


「本当に?」


「ちょっと疲れてるだけ」


 ――それは、嘘じゃない。


 夕食を終え、シャワーを浴び、残りの宿題を片付けると――俺はベッドに倒れ込んだ。


 そして。


 それは、突然始まった。


 ――夢。


 眠りに落ちたはずの俺は、次の瞬間、紫色の空の下、光る草原に裸足で立っていた。


 目の前には、黄金のローブをまとった賢者がいる。


「……目覚めたか」


 言葉を返す間もなく――


 訓練が始まった。


 容赦なく。終わりなく。


 融合魔法。

 肉体強化。

 精神鍛錬。


 すべてが、雷のように俺の中へ叩き込まれていく。


 日々は、週へ。

 週は、年へ。


 裸足で山を駆け、溶岩の洞窟で影の魔獣と戦い、時間の滝の下で瞑想する。


 失敗は、すべて糧になった。

 痛みは、すべて力へと変わった。


 そして――


 目が覚めた。


 見慣れた自分の部屋。

 差し込む朝日。

 小鳥のさえずり。


 俺は息を呑み、勢いよく起き上がる。


 シャツが、知らない身体に張り付いていた。


 引き締まった筋肉。

 研ぎ澄まされた感覚。

 皮膚の下で脈打つエネルギー。


「……タイムドック。何が起きた?」


「それは夢ではない。並行世界だ」


「お前の成長を加速させるために構築された空間」


「お前はあの世界で二年を生きた。しかし、この世界では数時間しか経っていない」


「――お前は進化している」


 鏡に映る自分を見て、言葉を失う。


 ……このままじゃ、学校に行けない。


「幻影魔法は使えるのか?」


識別外殻アイデンティティ・シェルを起動」


 次の瞬間――


 俺の体は、元の細く頼りない姿に戻っていた。


 弱そうで、平凡で、誰も気に留めない外見。


 朝食の席で、父さんがじっと俺を見る。


「今日はなんだかシャープに見えるな。何かしたのか?」


 俺は軽く頷いた。


「ちょっと朝に体動かしただけ」


 学校に着くと、空気がざわついていた。


 掲示板にはすでに“紅の閃光ヒーロー”のポスターが貼られている。


 生徒たちは、能力や正体について噂し合っていた。


 ディークシャの感情的なインタビューも話題になっている。


 一方で――


 昨日のクリケットの試合で、RCBがMIに負けたことを愚痴っているやつらもいた。


 世界は、いつも通りに戻っていた。


 ……俺以外は。


 昼休み。


 体が重い。

 疲労が骨の奥にまで染み込んでいる。


 俺は机に突っ伏し、そのまま浅い眠りに落ちた。


 ――そのとき。


 トン、トン。


 肩を叩かれる。


 目を開けると、教室のざわめきが戻ってくる。


 でも――そのタップは、偶然じゃない。


 ゆっくりと振り返る。


 そこにいたのは――


 ディークシャだった。


 腕を組み、無表情でこちらを見ている。


「話がある」


 心臓が跳ねた。


 彼女は静かに言った。


「あなた、自分が思ってるほど目立たない存在じゃないわよ――“時の英雄”さん」


 ――まずい。


 正体が、バレるのか……?


 【つづく】

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