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最弱の俺が時間制限付き最強能力を手に入れた件 ~影の侵略とクラスメイト救出のタイムリミット~  作者: Twilight


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第1話:覚醒の一撃――時の英雄、初めての戦い

 戦場は、混沌に満ちていた。


 地面はひび割れ、氷の破片が空を舞い、炎があたり一面を焼き尽くしている。


 ――動けない。


 魔法のせいじゃない。

 ただ、怖かった。


 戦いの中心では、ラーム――最初の数週間を支えてくれたクラス代表が、大きな岩に押し潰されていた。


「ぐっ……!」


 苦しそうな声が響く。


 その近くでは、もう一人のクラス代表――氷を操るディークシャが、必死に戦っていた。


 彼女の氷の盾が、巨大な岩のゴーレムの拳と激しくぶつかり合う。


 ――すべてが崩れていくように感じた。


 そのとき。


 不意に、ある記憶が蘇る。


『ねえアッシュ、私の大好きなバタースコッチアイス、買ってきてね!』


 妹の明るい声。


 ――そのたった一つの約束が、俺に力をくれた。


 俺は震える声で、タイムドックに問いかける。


「どうすればいい……? 俺はまだ準備できてない。怖いんだ……こんな力、どう使えばいいのかも分からない」


 タイムドックは、静かに、しかしはっきりと答えた。


「時の英雄よ。力は、お前の“意志”に応える」


「手のひらを見ろ。それが“英雄の紋章”だ。五大元素を操る力を与える」


「さらに――“影の外套シャドウ・マントル”という隠された形態もある。正体を隠すために使え」


「だが忘れるな。最大の力は、お前の意志だ」


 俺は自分の手を見た。


 そこには、小さな時計のように輝く紋章。


 ――理解した。


 俺はもう、ただの少年じゃない。


 時の英雄なんだ。


 ふと、授業で習った言葉が頭をよぎる。


 E=mc²。


 エネルギーは、質量と光速の二乗に比例する。


 ――なら。


 時間を操って、速度を上げたら?


 血の中に時間が流れるイメージを描く。


 体が、熱くなる。


 力が満ちていく。


 すべてを拳に集中させる。


 ――その瞬間。


 ドンッ!!


 視界が歪む。


 次の瞬間、俺は空中にいた。


 赤い閃光のように、風より速く。


 そして――


 全力で、ゴーレムの核を殴り抜いた。


 ガラスが砕けるような音とともに、ゴーレムは粉々に砕け散った。


 ――静寂。


 舞い上がる砂埃。


 敵は、消えた。


 ディークシャは呆然と俺を見つめていた。


 氷の盾は崩れ落ちる。


 彼女はすぐにラームのもとへ駆け寄った。


 俺は一歩前に出る。


 声は、不思議なほど落ち着いていた。


「大丈夫だ。俺が助ける」


 ディークシャの瞳に涙が浮かぶ。


 あの“氷の女王”が、崩れていた。


「お願い……ヒーロー……友達を助けて」


 俺は頷く。


 タイムドックが光る。


 ラームの体に手を当てる。


 時間が――逆流する。


 傷が消えていく。


 折れていた骨も、元に戻る。


 ラームはゆっくりと目を開けた。


「……助けてくれたのか」


 かすれた声で、そう言った。


 ディークシャが俺を見る。


「あなたは……誰?」


 少し間を置いて、続ける。


「その……連絡先とか、もらえたりする?」


 俺は思わず笑ってしまった。


「ごめん。ちょっと急いでるんだ。約束があってね」


 そして――


 俺はその場から消えた。


 彼女たちは校舎を駆け回り、俺を探した。


 だが――もう遅い。


 俺はすでに、その場を離れていた。


 気づけば、夕暮れの空の下。


 俺はアイスクリーム屋の前に立っていた。


 体はボロボロだ。


 頭もまだ混乱している。


 でも――心は、少しだけ温かかった。


 店に入り、小さなメモを差し出す。


「バタースコッチを一つ。妹に」


 店員は笑った。


 俺も、少しだけ笑った。


 世界が、ほんの少しだけ穏やかに感じられた。


 その後。


 バンガロールの空の下でアイスを食べながら、俺は考える。


 ――これからどうする?


 怪物は、また現れる。


 英雄の紋章は、まだ完全じゃない。


 タイムドックのことも、力のことも――まだ何も分かっていない。


 ラームやディークシャのような“他の英雄”についても。


 それでも。


 俺は一歩を踏み出した。


 そして今――


 時計は、刻み続けている。


 【つづく】

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