風の子と、白ドラゴと、歩幅の謎
二人はいよいよ旅立つことにした。もちろん、旅の始まりは徒歩だ。ドラゴは飛ぶことができるが、旅の第一歩は徒歩と決まっている。
フウライが一歩。
ドラゴが二歩。
「すごくたくさん足が動いてない?」
面白いものでも見つけたかのように、フウライがたずねる。
すると――
赤い輪郭がふわりと解け、淡く輝きながら白に変わる。翼はするりと縮み、体の割には小さ目な白い手が現れた。一回り小さくなった影は、ドラゴンというよりむしろトカゲのそれに近い。
白く輝く美しい毛並みを持つ――ドラゴン?トカゲ?が姿を現した。
「あのねぇ、我とフウライ…足の長さ、違うと思わない?」
赤い時のドラゴより少し高い、優しげな声が降ってくる。
「え…?え…?な、変身?…変身した…?」
フウライもさすがにこの状況には戸惑いを隠せなかった。
「ええ、変身したわよ。」
首から延びた鎖をシャラリと手に取る。
「これのおかげでね。というか、もともとこちらが本来の姿なのよ」
「うわ、うわ、うわぁ!変身!すごいね!かっこいい!」
すぐに適応できるのがフウライの長所でもある。だが語彙が少ないのは仕方がない。
「ふふ…。まぁ、足の長さが違うんだから、歩幅も違うってわかるわよね。フウライが一歩出す間、我は二歩必要なのよ。」
当たり前である。
だが、当たり前のことも白ドラゴが言うともっともらしく聞こえるのだ。
「ああ!そっか。そうだよね。なるほどぉ」
実際、フウライも感心している。
誇らしげな白ドラゴは少しだけ胸を反らした。
「白い時の我は、どちらかというと考えるのが得意なのよ。赤い我は力ってわけ。」
「へぇ…頭もいいんだ。ドラゴ、なんでもできるんじゃない?」
「なんでも…かどうかはわからないけど、まぁ大抵のことには対応できるわね。」
さらにちょっとだけ胸を反らせる。
「心強いよ!」
本当にうれしそうである。フウライは面白いものが大好きなのだ。これからの旅に、さらに胸を躍らせるのだった。




