風の子と、ドラゴンと、名のはじまり
「うむ、だがその前に」
ドラゴンは立ち止まり、しかつめらしく話し出した。
「まず、名前を決めなければならん。お互いを呼ぶのにな。」
「名前?あぁ、僕の名前は…」
「待て。」
ドラゴンが制する。
自己紹介を止められ、何だろう?という目をこちらに向ける。
「我が呼ぶのだ。我が名前を付けるのが当然ではないか?」
…そうだろうか。
そう思う間もなく、ドラゴンが畳みかけてくる。
「お前は風来坊のようでしかない。だから、フウライだ。」
風来坊。確かに風のようだとは言われたことがある。だが、そんなに神出鬼没だっただろうか。確かに、ドラゴンにとって自分はふらりと現れたのだから――
「なるほどぉ…確かに。」
と感心してみせる。
鼻息が少し荒くなったドラゴンが促す。
「では、お前の番だ。いうがいい!我をどんな名前で呼びたいのかを!」
「うーん…」
名前を付けたことなどないフウライは頭を悩ませる。
……ないんだろうか?そんなことはないだろう。我は偉大な厄災。偉大なドラゴンだ。ドラゴンが少し心配になったころ
「じゃあ、ドラゴンだし、ドラゴってことで!」
いいことを思いついた!とでもいうようにドラゴンの名前が決まった。
「……ドラゴ?」
自分の名前を確かめるように、自分で呼んでみる。
「ドラゴ。」
フウライも頷きながら、もう一度、肯定するように呼ぶ。
「…安直じゃない?」
恐る恐る、といったようにドラゴンが訪ねる。
「フウライだって風来坊でしょ?」
にっこりと笑いながら言われては…
「まぁ、そうなんだけど…」
「…」
「…」
名前は決まった。
さあ、旅立ちだ。




