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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
出会い編
6/32

風の子と、ドラゴンと、世界の扉

ドラゴンは目を見開いた後、その目をゆっくり細める。あの鎖を持てる者がいるとは。長生きしてみるものだな。だが、あのようなものに巻き付かれた者は、いったい何を思うのか――


一方、鎖が巻き付いた右腕をあっちにやり、こっちにやりとためつすがめつ観察している。もちろん、満面に笑みを浮かべ、目を輝かせながら。


「これ、軽いね!」


聞いているかどうかもわからないドラゴンに語りかける。


実際、重さは感じない。


それほどの鎖であれば、重量はかなりのものとなるはずだ。なのに、まるで何もつけていないかのように、だがしっかりと腕に絡みついている。


ドラゴンは思い切って、その問いかけに答えてみることにした。

「あー…、それは…、もう…、取れないぞ」


鎖が付いた右手をおろし、目を丸くしてこちらに向ける。

そして――


「へぇ!そうなんだね。うーん…じゃあ、もう家に帰れないかな?」

困ったような、それでいて嬉しそうにドラゴンに返す。まるで、ドラゴンと会話をするのは当たり前なのだというように。


「あぁ…まぁ、そうだな。我は…その、厄災といわれているしだな…」

だんだんと語尾が小さくなっていく。


「やくさい?ああ!うーん、でもそんな風には見えないね?」

語り継がれてきた赤い厄災の話を思い出したが、目の前にいる小振りなドラゴンは、とてもじゃないけどそうは見えない。


「何を言う!我は!人々に恐れられた!厄災ぞ!」

沽券にかかわる。ここはしっかりとくぎを刺すべきだろう。


「このような!サイズに!なっても!力は!変わらんのだ!」


ぜぇぜぇと息を切らし、主張すべきことを主張する。


「おお!」

輝いていた目をさらに輝かせ、ドラゴンの全身に目を走らせる。


「すごいね!」

賞賛を送る。


「語彙が少なすぎるだろう!」

本当に褒められたのか。ドラゴンは脱力し、心の中の困惑と向き合った。もっと、何かないのか?なんなんだこいつは。だが、

――悪くない。


「家に帰れぬのなら、旅にでも出てみるか」

唐突なドラゴンの誘いに、逡巡したのは一瞬だった。


「うん!」


いくら風のような彼でも、旅に出るとなれば家族は心配するだろう。これまでも何日か帰らないことはあったが、それでも数日だ。

だが、その家族の心配は少しだけ彼の心を重くしていた。

もう18歳。成人の儀式も済ませている。それに、彼が見ていた世界を、実際に目にすることができるのだ。


旅に出ない理由なんてない。


「行こう。世界を見る旅に!」


そうして、一行は旅に出ることにしたのだった。

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