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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
王都編
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プラスマイナスでゼロ

東国の使者が確保してくれた宿は今日までだ。

ギャンブルで稼いだお金で延長する予定だった。

のだが――


「ねぇ、もうちょっと稼がない?

滞在費は一週間分あるけど、他に遊興費も必要でしょ?」

白ドラゴが、フウライをそそのかす。


滞在するかは別として、これからの旅のことを考えれば、お金が多いのは悪いことではない……

そんな計算がフウライの頭をめぐる。

しかも、白ドラゴはギャンブルに勝ったという実績もある。


「うーん、じゃ、儲かった分でやってみようか。」


意外と堅実派のフウライは、儲かった以上の損をするつもりはなかった。


――その頃


王子の前に膝まづく東国の使者は、その端正な顔を白く染め、小刻みに震えていた。


「――いま、なんと……」


「そなたが持ってきた宝、有効に使わせてもらいました、といったのです。」


東の王子は手に巻かれた珍しい石をうっとりと見つめ、そう言い放った。


「もちろん、民にもいろいろなものを配りました。」


そうだな?と言わんばかりに側近に目を向ける。


「も、もちろんです。食料や衣料を購入し、王子の名前で配っています。」


目を向けられた側近は、キョロキョロと目を泳がせながらもその視線に応える。


王子は満足げにうなずくと、


「このように、私たちはいつも民のことを思って行動しているのです。」


東国の使者に視線を戻す。


「どこで、だれに配ったのか――」


東国の使者が言い終わる前に


「配ったと言っているだろう。そんなに私が信用できないのか……!」


東の王子は視線を鋭くし、少しだけ声を荒げる。


「もう下がれ。ご苦労様。」


しっしっと追い払うように手を振る。


東国の使者は、王宮へ戻る道すがら、眉を寄せて面会した王子の母や、その兄である東国の主について考えていた。


――このままでは、王国と東国は共倒れになってしまう


歩く速度が次第に遅くなり、しまいに目を伏せうつむき立ち止まる。

そして、顔を上げると何かを決心したかのように、歩を進めた。



カジノでは、白ドラゴが顔をしかめている。

その横で、フウライは存外楽しそうだった。


「おかしいわねぇ…」


宝石ルーレットで、連続で3回も外したのだ。


「やっぱり運なんだねぇ…

ドラゴのギャンブル運は、この間使い果たしたのかな?」


フウライが茶化す。


「そもそも、あの時、勝ち続けたのがおかしいのよ。」


むくれながら白ドラゴが答える。


「今日は、残念ですねぇ…」


また勝たれるのではと、戦々恐々としていたディーラーはうれしそうだ。


結局カードもサイコロも勝てなかった白ドラゴは、フウライに一緒だねぇと言われつつ、儲けた分をすっかり使ってしまったのだった。


「残念だったねぇ。」


ギャンブルに懲りているフウライが、白ドラゴに声をかける。


「ま、そんなもんよ。」


どんなもんかはわからないが、白ドラゴが答える。


「この世は、プラスマイナスでゼロになってんのよ。」


「そっかぁ…?」


無駄に説得力があるので、なんとなくフウライも納得してしまう。


「けど、王都滞在の延長分使っちゃったね?」


フウライが事実をつきつけるも


「まぁ、そうね。一週間もいたし、もういいんじゃない?」


などと白ドラゴにいわれると


「まぁ、そうか。他に見るものもないし…」


そろそろ王都に飽きてきたフウライも同意するのだった。

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