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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
王都編
40/46

王都にて、解散

「王都の宿なんて、どんな感じなんだろう?」


フウライは胸を躍らせ、ドラゴに問いかける。


「さあな。我が泊ったのはお前と同じ宿しかないからな。」


追われたことしかないのでな――

ドラゴはそれを言わずに、フウライに目を向ける。


「ドラゴもわくわくする?すごいよねぇ、王都って。」


テーブルが外にまで出ているカフェに目を丸くし、見たことのない生地で作られた服を飾った店に声を上げ、キラキラと光る宝石店に胸を抑える。


「さすがは王都といったところだな。なんでもある…」


ドラゴが言いかけたところで、


「あっ!ドラゴ、あれあれ!」


指さした先には、先日宿場町で見た芝居一座のポスターが貼られていた。


勇者、決死のドラゴン退治!


実物を見たからなのか、ドラゴンの着ぐるみがドラゴに近くなっている。

芝居を見たのか、城下町の住民であろう人々が物珍し気に、こちらを見てるのに気づいた。

その目に恐怖はないので、宿場町での出来事も伝わっているのだろう。


「わぁ!ドラゴンだ!」

「ねぇ、お芝居のドラゴンさん?」

「すげぇ!本物って鱗すげえよ!」

「強そう~。」


瞬く間に子供たちに囲まれる。


「遠慮なく集まってくるねぇ。」


フウライが笑いながら、少し上目遣いにドラゴに目を向ける。

言葉に詰まって棒立ちになったドラゴは、ふっと白い光をまとう。


「あんたたち、集まらないでよ!はい、解散!」


集まってくる子供たちに解散を言い渡すが、


「かいさん、てなんだ!?」

「うーん、海の、貝じゃ、ないよねぇ?」

「変身した!変身した!」

「白いドラゴンさん、きれい~。」


子供たちに通じるわけもなく、却って喜ばせただけだった。

喜んでいる子供たちに目を細める大人たち。


だが、そんな騒ぎをよく思わない者もいる。


「おい、お前ら!」

「いったい、何をしている!」

「騒ぎを起こすな!」


王都を警備しているであろう兵士が数人、騒ぎを聞きつけて様子を見に来たようだった。


「この王都に、そのような魔物はふさわしくない!」

「厄災が何をしたか、わかっているのか!」

「お前らに王都にいる権利はない。さっさと出ていけ!」


――ドラゴは魔物なんかじゃない

――そもそも人間が攻撃しただけじゃないか

――何もしてないし、ここにいる権利はある


フウライの頭に、いろんな考えが押し寄せる。

だが――


「バァーカ!」


一番偉そうな兵士を指さし、罵声を浴びせる。


――だって、こんな奴らに言い訳してどうなる?


「お前も!お前も!」


そのあとも、順番に指をさす。


「アラアラ…。フウライったら…。」

「そんなに言ったら、かわいそうじゃない?」


白ドラゴは嬉しそうに、止めるふりをして止めない。


「お前も!」

「バァァーカァ!」


フウライは言い終わると、満足げにため息をつく。


兵士も子供も住民も、全員固まったままフウライを見つめ――


「バーーカ!」

「あはは、バーーカ!」

「バーーカ!バーーカ!」


子供たちは真似をする。

大人たちはこらえきれず笑いの渦を発生させた。


毒気を抜かれた、そんな気分になったのか


「いいか!おとなしくしてろよ!」


と言い放つと、兵士たちは去っていった。

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