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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
人里編
36/47

旅立ちの前に

「ふわぁ~できたあぁ…。」

なんとも情けない声を上げつつ、フウライの試作品が一応の終わりを見た。

村の家具職人から、木材を削るコツや道具の使い方を教わりつつ、数日かけてようやく完成したのだ。

置いたら少し傾くものの、使えないほどではない。


「こんなに難しいなんてさぁ…。」

ブツブツいいつつも、出来上がった物を横から、上から見て満足そうだ。


「フウライさん、そのスプーンなんですけど、宿に置いていっていただけませんか。」


出来上がりを見守っていた少女が、意を決したように願い出る。


「え、これ?……使うの?」


ちょっとおろおろしつつも、フウライが問い返す。


「もちろん使います。フフ。」


その様子が少しおかしかったのか、少女が口元に手を当てつつ答える。


「置いていっていただけたら、壊れた時に奇跡が起きたんだな、ってわかるじゃないですか。」

「壊れた日時を記録しておくので、もし奇跡が起きたら知らせてほしいんです。」


後半は、手を握りながら切実に願う。

フウライに奇跡が起きれば、そしてその日時が同じなら――

オークの木の奇跡は確実なものとなるのだ。


「あぁ!なるほど!」


フウライは目を輝かせ、楽しそうにぽん、と手を叩く。


「そっか、そしたら宣伝もしやすくなるしね。」


たくさんの人が来るといいねえと白ドラゴに言いながら、次の旅について話をする。


「それなら、王都に行ってみたらどうですか?」


すっかり安心したらしい少女が、次の旅先を提案する。


「ここからは一週間くらいかかるけど、途中宿場町もあるし。」

「宿に泊まれるよう、宿場町の友人に連絡しておきますよ。」


白ドラゴにちらりと目をやり、心配はいらないとばかりにフウライを見る。


「わぁ!助かるな。ありがとう!」


フウライは目を見開き、そして細める。

オークヘイブンで断られているのだ、少し不安になるのは仕方ない。でも宿に泊まった実績があれば…


「これはお礼です。本当に何から何まで、ありがとうございました。」


少女は報酬の袋を差し出す。

見ると、結構な金額のお金と、白ドラゴの分も入っているであろう、お弁当が収められていた。


「こんなに!?」


フウライは驚くが、


「村の復興がかかってたんですよ。当然です!」


少女は胸を張って答えるのだった。


「わぁ…こちらこそ、ありがとう!」


少女にお礼を言うと、白ドラゴに向き直り


「じゃあ、行こうか!」


次の冒険へ出発するのだった。

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