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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
人里編
35/46

はじめの一つ

「えーっと、まずは、試作が必要だと思うの。」


少女は流れを考えつつ、次の目標を定める。


「村の人間だと信用されないかもしれないから……」


フウライに目を向ける。


「試しに木彫りの何か、作ってみませんか?」


交渉の場にいたメンバーの目がフウライに集まる。


「え?僕?

うーん…木彫りかぁ…」


ちら、と面倒かもしれないという気持ちが顔をのぞかせる。


「旅の役に立つかもしれないわよ?」


白ドラゴが少女を援護する。

今まで守られる一方だし、何かあった時に…とフウライも思い直す。

ペンダントだって作れたんだし…


「うん、じゃ、やってみようかな?」


照れくさそうに頭に手をやると、試作することに同意した。


フウライの同意を受け、少女は連絡係に木こりや森林の管理人の調達を伝える。

村の産業がうまくいくかもしれない、という思いは連絡係の村人を元気づけたのか、勢いこんで走り去っていった。


村長はオークの森の住民に人間の管理が入ること、裏切ったらドラゴが味方になることなどを連絡するため、そばのオークに伝言を託した。


「さっそくだが、木を見に行くといい。」


村長は残ったオークの監視員に向き直り、


「何かの縁だろう。お前が行ってきなさい。」


と命令を下した。


俺にできるのか?

やったことないんだがな。


命令された監視員は焦りを隠せなかったが、やってみるしかない。

四人で連れ立って森の中から木を見つけるため、村長の家を出たのだった。


「こっちだ。」


三人は、監視員に乱雑に積まれた木材が置いてある広場に案内された。

管理は苦手といっても、木を間引くようなことはしていたようだ。


「これから切るんじゃないんだね。」


木こりが切るのかと思っていたフウライは、少し拍子抜けしたようだった。


「これから切ったら大変だろう。木を切るのは時間がかかる。」

「乾かす手間もあるし、すぐに作るっていうなら――」


監視員はフウライを見てから木材のほうに向き直り


「もう切ってある木材から選ぶのが妥当だろ。」


と言われれば、その通りと思うしかなかった。

フウライの村は畑と薬草がメインで、材木は近隣の村との交換で成り立っていたので、事情がよく分からないのは仕方ない。


「よし、お前だったら――」


監視員がフウライと材木、交互に目をやりながら木材を選ぶ。


「これだな。これで木のスプーンを作れ。」


1つの木材を指で差し、作るものを指定する。


「木のスプーン!?」


フウライと少女、驚いたように同じ言葉を発する。


「家具じゃないんだね…」


フウライはつぶやきつつ、同時に簡単そうでよかったとも思った。


「1年ぐらい置いてあるから、乾燥は十分だ。後は表面の水分を飛ばせばいいだろう。」


オークのアドバイスは続く。


「どのくらいですか?」


少女が問いかける。場合によっては宿を準備する必要もあるからだ。


「2,3日だな。日の当たる場所に置いておけばいい。」

「……俺、こんなこと知ってたんだな。」


監視員も自分で自分のアドバイスに驚いている。

同時に、これから面白いことになりそうだ、とも思ったのだった。


「出来上がった物は、持ち歩く必要があるの?」


少女が白ドラゴに尋ねる。


「旅に出たら、タンスなんか持ち歩けないでしょ。」


木で鼻を括ったような返答が返されたが、少女はその通りとうなずいた。

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