村の入口で
村の入り口はすぐ近くにあった。
オークヘイブンのように門があるわけでも、壁があるわけでもない。
ただ、荒れた道が続いているだけだった。
村の入り口と思われる場所には、体格のいい老人が立ちふさがっていた。
漁村で見た村長とはまた違う雰囲気をまとっている。
「村長!この人たちなんだけど…」
「何故よそ者を連れてくる!?
しかも、オークヘイブンと関係しているかもしれないんだぞ!
この村のことを忘れたのか!」
少女の言葉を遮り、村長が激しく言い募る。
「そうだよなぁ。」
「見るからに怪しいよな。」
「子供たちもいるし、心配よね。」
少女と一緒にいた村人たちも不安の言葉を口にする。
「い、いや、僕たちはオークヘイブンには入れてもらえなかったんです。
それに、ドラゴは今は白ドラゴです。攻撃なんてしないですよ!」
フウライが必死に言い繕う。
オークヘイブンから追い出された――そうだ、我々も――昔のことが頭をよぎり、表情が一瞬曇る。
「だが、見ての通りの村だ。客人をもてなす余裕もない。見るものもないし、買うものもない。」
「だから――この人たちに少し手伝ってもらおうと思って!」
少女がその隙を逃さず説得にかかる。
「オークの森さえあれば、って村長も言ってたでしょう?
オークヘイブンと協定を結んだのなら、私たちもそのチャンスはあるかもしれない。」
そういいながら、少女はフウライに視線を移す。
「あ、オークの監視員さん、とてもいいオークみたいだったよ。もしかして、ドラゴなら説得できるんじゃない?」
フウライは少し落ち着いたのか、視線を受け取ると、のんびりとそう言って白ドラゴに目をやる。
白ドラゴはぎょっとしたのもつかの間、
「まぁ、当然できるでしょうね。我に従わない魔物なんて、いないわよ。」
フウライの期待には応える。
村長はわずかに目を輝かせる。オークの森が使えるのなら――
「本当に、そんなことが、できるのか?」
「当然でしょ。」
白ドラゴがそう答えると、村長は意を決したように、近くの村人へ告げた。
「宿に食事の準備を。」
村人が走り去ると、村長は白ドラゴとフウライに向き直った。
「では、宿で詳しい話を。――任せて大丈夫なんだな?」
最後に、少女へと視線を移して確認する。
「うん、任せて!」
同じように目を輝かせ、少女はそう答えた。




