腹ごしらえと、ふわふわ
「うう…お腹すいたぁ…」
謎の小島を出た朝から何も食べていない。遅い昼食を取ろうとした街にも入れなかった。
川を渡ろうとしたその時、ひらめき顔のフウライがドラゴを見る。
「そうだ!お魚いっぱい泳いでるし、僕、あれを取るよ!」
「そうね、じゃあ我は寝床と薪を調達してくるわね。」
大丈夫かしら…と思いつつも張り切って川へ向かうフウライに目をやり、じゃらじゃらと鎖を伸ばして森の近くへ向かう。
フウライが寝るなら、石の多くない少し小高い場所がいいだろう。草が多いと虫も多いだろうから――
この辺りね。
だいたいの場所を決め、森へ近づく。鎖を籠のように持ち、実りの時期を迎えているオークの木から食べられそうなドングリを集め、落ちている枝を拾った。
寝床近くに石を集めてかまどを作り、枝を並べる。魚を刺して焼くための枝も整えた。
いっぽう――
フウライは山奥で培った魚とり技術が、思ったより使えないことで苦戦していた。
「うう、全然戻ってこない…」
得意の待ち伏せ戦法は全く通用しなかった。逃げたまま戻ってこないのは、フウライがいるのをわかっているのか、それとも何か他の理由でもあるのか。
仕方なく追いかけるが、単なる追いかけっこで終わってしまう。
「余計お腹すいたみたい。」
まあまあ当たり前の結果にがっくりと肩を落としていると、心配したのか白ドラゴがこちらに向かってきた。
「ドラゴ、魚、取れないみたい。」
少しきまり悪げにつぶやくフウライに、ふわりと赤をまとう白ドラゴ。
「あ、まさか、川の水を蒸発させるみたいな!?」
「そんなわけあるか!」
やろうと思えばできないこともないが、そんなことしてどうする。
被害は甚大になるぞ――
しかめた顔をほどき、ドラゴはその体にしては大きな尻尾を振って見せる。
「あ、バシーン!で魚を捕るんだね!」
「うむ。」
いうや否や、尻尾を振り上げ――
「なんか、でっかくなってない!?」
どう考えてもその体ではあってはならないほどの大きさになった尻尾にフウライは目を丸くする。
答える間もなく、川に叩きつける。ドラゴの体に隠されているフウライにはしぶきがかかる程度だ。
そのまますくいあげるように川を浚う。尻尾が戻ってきたときは、フウライのそばに5匹ほどの魚が叩きつけられていた。
「自由自在だねぇ…」
ため息をつきながら目を輝かせるフウライに、ドラゴは胸を反らせる。ふわりと白をまとい、鎖を籠にすると――
「わあ!便利なんだね。そんな使い方もあるんだ。」
伸びるのはわかっていたが、そんな使い方までは思いつかなかったのか、感心したように首を振った。
白ドラゴは少し照れたのか目を伏せ、
「まぁ、我は頭はちょっと使えるのよ。」
と、魚を籠に集めるのだった。
魚とドングリで腹ごしらえしたフウライはすっかり瞼が重くなり、白ドラゴに寄りかかって眠りについた。




