門の前で
そろそろ足も疲れてきたな、というころ森から草原に変わった。草原の向こうには、床板が何枚か外れて支える綱が何本か切れた橋が見える。
「この橋、大丈夫かな?」
「そうねぇ…まだ残りの綱がしっかりしているし、残ってる床板も腐ってないから大丈夫。」
「もうだいぶ使われてないんだね。」
「……オークの森にはもう用はないでしょうからね。」
恐る恐る床板に足をのせる。
「あ、大丈夫そう。」
ふわりと笑い、川の中を覗き見る。
「わぁー!魚がいっぱいだね。この辺りの魚は大きいんだねぇ。」
「海の近くだもの、フウライの村とは違うでしょうね。」
「小さいころからよく川で魚を取ったよ!素早くて、そのまま追いかけると捕まえられないんだ!」
魚は、待ち伏せだよ!
嬉しそうに語るフウライに、胸の中が暖かいようなもどかしくなるようなおかしな気分に少し顔をしかめる。
「骨が太そうだね。僕、よっく焼いた魚を丸ごと食べるんだ。骨まで食べられるんだけど、ここのは無理そうだねぇ。」
構わずしゃべり続けるフウライ、しまいに
ぐうう~
と腹の音まで鳴らすのだった。
「あーあ、小島でもらった報酬がゴミじゃなければなぁ。」
お魚が入ってたのに。
ブツブツいうフウライにあきれつつ
「もうすぐオークヘイブンだから、そこで食事にしましょ。漁村のバイトで我が稼いだお金があるでしょ?」
「あ、そうだった!」
ごそごそとポケットから袋を出し、中を覗き込む。
「大体3日くらい過ごせそう。」
宿は高いかな?
そんなことを話しながら歩いていると、門の前にいる警備員が走り寄ってきて前に立ちはだかる。
「ここから先へは通さん!」
「ドラゴンを連れた人間…お前か!いくら小さくても厄災。街へ入れるわけにはいかない!」
警備員は口々に二人を責め立てる。
「い、今は白いドラゴンだし、攻撃なんてできないよ!僕たちは争いに来たわけじゃ…」
「黙れ!」
騒ぎを聞きつけてきたのか、バザールの主人であろう人たちが集まってくる。
「な、なんだあれは!」
「厄災じゃないのか!?」
「燃やされるぞ!」
「来るな!」
ヒュッ、っと音がしたと思うと白ドラゴがフウライの前に出る。次の瞬間、音を立てて石が転がり落ちる。
白ドラゴが赤い光を帯び始めた時
「ドラゴ、大丈夫だよ。歓迎されてないみたいだし、戻ろっか。」
声のトーンを少しだけ上げる。ここにいてはいけない。
「そうね。野宿する場所でも探しましょ。」
ため息をつきながら二人は体を森に向け、歩き出す。その様子を、オークヘイブンがきまり悪そうに見ていた。




