還るもの、残るもの
「えっ!えええっ!な、みんなは!?あのがれきは!?なんで!?どこいった!?」
あまりの出来事に混乱していると、急に手の中の袋がずっしりと重みを増した。
見ると、七色の貝や魚、古銭は、魚の骨、傷んでドロドロの海藻、濡れた石となって零れ落ちてきた。
「うわわっ!」
素っ頓狂な声を上げ、それらを投げ捨てる。空で散り散りになって海へ消えていく中の物を、呆然と見送っていると
「大丈夫か。」
ゆっくりした声に我に返り、深い呼吸を繰り返す。
「海…よごしちゃったかな。」
しょんぼりとつぶやく。
「汚すも何も、あれらはもともと自然のものだろうよ。」
あきれたようにドラゴが返す。
そっか、金属で加工したわけじゃないもんな。よかった。
それにしても――
「あの島、なんだったんだろ。」
「どこかで聞いたことがあるが、はるか昔、疫病で滅んだ島があると言ってたな。島外の人間が持ち込んだのだ。」
「そういえば、僕のいた村もよそから移る病気を持ってきた人がいて、薬師さんが大忙しだったことがあるよ。僕たちは治ったけど、そっか、みんな…」
免疫のない島の住人には致命的なこともある。フウライの村には薬師がいるが、もしいなかったら。
「島外の人間を恨んでるんだろうよ。」
ぽつり、とドラゴがつぶやく。
「僕も恨まれていたかもしれないね。」
フウライはそんなことしか答えることができなかった。悪気があったわけではないだろう。でもそれが致命的になってしまうこともある。
「人間が生きていればそんなこともある。気にするな。」
「でもさ、僕、昨日とかのごちそう…なに食べてたんだろう…」
「気にするな。」
「…」
「…」
ドラゴが言うんだから、毒ではないんだろう。おなかはいっぱいになったし、おいしかったのは事実だから――
「じゃあ、行こうか!」
まっすぐ次の街を指さすのだった。




