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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
小島編
19/33

月の下で

既に闇に包まれた海は、月の明りに照らされたさざ波が立つくらいの風に吹かれていた。寝ずの番では腹が減るだろうと、村人が持たせてくれた、ほぐした魚が詰められた固めのパンを持って、フウライは海を見渡す。


「夜の海も素敵だねぇ。」


ふう、とため息をつきつつ、うっとりと言葉を放つ。先ほどまで怖がっていたのがウソのように、ふわりとした表情を浮かべる。


「でも、どうやって寝よう?毛布はもらったけど、ドラゴとつながってるじゃない?」


ドラゴは赤い輪郭を解くと、白く淡い光を放ちながら形を変える。


「それは、こうするのよ。」


ジャララ、と鎖を伸ばす。フウライの目がみるみる丸くなる。


「僕、もうびっくりすることは、少ないだろうって、思ってたけど…」


「フフ。まだまだ知らないことなんて、たくさんあるわよ。さ、毛布を自分に巻いて。」


丸くなった目を思い切り細め、毛布を自分に巻きながら、


「そうなんだ!楽しみだなぁ」


楽しいことが大好きなのである。

毛布に巻かれたフウライを、鎖を回して背負うように、器用に自分につないでいく。


「ふわふわであったかーい。」


毛が生えているのは見てわかるが、冷血動物ではないようだった。


「この体勢で寝れるかな。」


心配とは裏腹に、適度な揺れを感じながらすぐに寝息を立てる。フウライが寝たのを確認すると、白ドラゴはゆっくりと動き始めた。


幽霊が出ると聞いた場所――

浜辺からおよそ5メートルぐらいだろうか。

海を見つめる目が細められ、少しだけ海の中へ進む。しばらく立ち止まると、そのままゆっくりと後退した。


月の作る影が一番短くなった時。


ざざざざっと音を立て、海の一部が盛り上がる。


――幽霊が音を立てるって?


フッと笑いながら、その影を見つめる。影は人型となり立ち上がり、長い髪の毛は濡れて月に照らされ揺れている。


なるほどね――

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