静かな浜辺
「ねぇ、ドラゴぉ…そろそろお尻が痛くなってきたよ。どこかで休憩できないかなぁ?」
ばったりとドラゴに倒れ掛かり、フウライが弱音を漏らす。代わり映えしない景色に少し飽きてきてもいるのだろう。
「まだ半分ぐらいしか飛んでないぞ。人間とはこうも弱いものなのか…」
後半をつぶやくように言うドラゴは、人間の脆弱さに困惑した。
ふと、フウライの目に小さな島が映った。浜辺にいる子供のような影が、いくつか、こちらに向かって手を振っている。
「ドラゴ!ほら、島だ!子供たちが手を振ってる!あそこで休憩しようよ!」
ううん、とうなるドラゴ。
「……気が進まんな」
「でももう、疲れて無理だよぉ」
泣き言をいうフウライに折れ、ドラゴは小さく息をついた。そして、ゆっくり旋回して浜辺に向かう。
浜辺に降り立つと、わぁっと子供たちが駆け寄ってくる。
「わぁ、かっこいい!ドラゴンだ!」
「お兄ちゃん、ドラゴンを飼ってるの?」
「おっきくて、つよそうだねぇ」
飼われている、といわれたドラゴは顔をしかめるが、おおむね誉め言葉と受け取ったフウライはうれしそうだ。
「そうだよ、とっても強くて、頼りになるんだ!」
胸を反らせ、ドラゴに目をやりつつフウライも一緒になってほめる。
ドラゴはしかめていた顔をフッとほどき、目を細める。
浜辺の向こうの家から、年長の子供が一人こちらに歩いてくるのが見えた。
「島へようこそ。お客様ですね。お疲れでしょう。村長に知らせてきますから、少し待っててくださいね。」
二人にそう言葉をかけると、踵を返して走っていった。
「すごく、ちゃんとした、子だね」
少し困惑した様子のフウライが、ドラゴに戸惑い気味に言葉を投げる。
「そうだな、漁村にしてはな」
漁村か…今朝まで滞在していた漁村を思い出す。ずいぶんと違う…あたりを見渡すと、浜辺の向こうには子供が出てきた家に並ぶ、数件の家。古いが壊れているわけではない。網や樽も置かれているが、今まさに使われている様子はなかった。
「静かでいい島じゃない?」
ドラゴは答えず、村の奥と潮の流れを見ていた。
「ねぇねぇ!」
村の様子に気を取られていたフウライは、子供たちに引き戻される。しばらく子供たちをあしらっていると、少し弱弱しい様子の、年配の男性を連れた子供が帰ってきた。
「ようこそ。この島に客人とは珍しい。さぞお疲れでしょう。先ほど歓待の準備を整えるよう言ってきましたから、どうぞこちらへ。」
漁村、とは思えない丁寧で頼りなげな口調で二人を誘う。




