表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
バイト編
14/33

救いのあとで

「やったぞ!水だ!」


ドラゴンの言葉に半信半疑ながら、掘り始めて10日目、湖からの水が地上に通った。


「あのドラゴンは頭がいいと思ってたんだ!」

「ああ、難しい計算だってしてたしな」

「毎日の水だって汲んでくれて、ドラゴン様様だな!」


最初にあった時に不安の言葉を投げたのと同じ口で、今回ばかりは賞賛の言葉を投げるしかなかった。


「しかし…誰がじゅ、じゅぶつ、だっけか?そんなものを…」

「村の人間でねぇことだけは確かだな。」

「そういえば、水が汚れる前に、入口んとこの小僧が知らねぇ女を見たって言ってたが…」

「あんときは、近場の村の野菜売りだろと思ったが…まさか…」


小高い丘の上、森の中から村人たちに鋭い視線を投げる者たち。


「大きな被害がなくてようございましたな。」

優し気な面持ち、背で腕を組み、仕立てのよさそうなシャツを、金属でできた鎖のマークの入った第一ボタンまで留めた好好爺然とした人物が、近くにいた者たちに柔らかく話しかけた。


エプロンと、チュニックに鎖のマークのついた飾りボタンを付けた女が進み出て、少し引き締まったを声を震わせ、

「はい、呪物を沈めるのは心苦いものがありましたが、幸い死人などはでなかったようです。」


「大勢のために、多少の犠牲はしかたのないことです。ですが、死人が出ないに越したことはないのです。よくやりましたね。」


ほめられた女は身を縮ませて頭を下げるが、どこか誇らしげだった。これからすることは、全ては明日を生きる人間のためなのだ。


「それで、アレは引き上げたのですか?」


「ただ今、湖に3名ほどで向かっています。隠していた船もありますので、すぐに引き上げられるかと。」


「そうですか。アレを引き上げれば湖は…汚れていくでしょうが、仕方ありません。…ドラゴンが目覚めた時のため、準備していた甲斐がありました。」


既に光のなくなった湖面を、ランプを下げた小舟が進む。湖中からチラチラと光る青が、その場所を示していた。

彼らはその光の上に着くと、重りと網のついた縄を慎重に垂らしていく。青く光るそれを掬うと、ゆっくりと引き上げる。


彼らの手の中にあるそれは、水滴を押し広げたような青いかけらで、石とも貝殻ともつかぬ質感を帯び、手のひらにずしりと重みを残していた。


「これが…」

神秘的なそれは、触れれば拒まれ、離せば引き寄せられるような不思議な雰囲気をまとっていた。


「これは…我々が手に入れても本当に大丈夫なものなのか…?」

「我らの正義を疑うのか!」


それでも持ってきた箱に無造作に入れる。その瞬間、湖面の光がわずかに揺らいだが、それに気づく者はいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ