朝のひかりと、残された記憶
朝の白く細い光が岩の裂け目から差し込み、洞窟の奥にすっと延びている。
ひんやりした空気と、光に照らされた水がかすかな音を立てて滴り落ちていた。
赤みを帯びた鱗を持つ年老いたドラゴンは、その目を閉じて静かに横たわっている。
その体には、どんな傷も残らない。
ただ、年を重ねた今は、その重さだけが少し堪えた。
今はただ、旅立つその時が来るのを待っている。
そのそばでは、大地から生まれた卵から孵って間もない白い小さな柔毛のドラゴンが、
好奇心のままに洞窟の石を拾って眺めたり、自分の尾を追いかけてみたり、
止まることを知らないかのように洞窟の中を走り回っている。
老ドラゴンのそばの石を拾い上げようとしたとき、何かがきらりと光った。
畳まれた服の──その上に、小さな角のペンダントが置かれている。
白いちびドラゴンはそのペンダントを、さらに小さな手で取り上げ
老ドラゴンに問いかける。
「ねえ、これは何?」
白いちびドラゴンが、好奇心いっぱいの瞳で老ドラゴンを見上げた。
老ドラゴンは重たくなったまぶたを開き、その目を白いちびドラゴンに向けた。
小さなその手がもてあそぶペンダントを見ると、深く息をついて
ゆっくりと目を細めた。
旅の記憶――ペンダントを身に着けた風のような友の、遠くなってしまった思い出。
何度も思い返しては、胸の奥がなつかしさで温かくなったり痛んだりしたものだ。
その思い出もすでに遠くに行ってしまった気がする。
だが、その思い出の場所にはまだ友がいて、自分が行くのを待っていると知っている。
老ドラゴンはふと、自分もかつて白だった頃のことを思い出す。
あの時の老ドラゴンは、こんなふうに静かに語ってくれた――
あの声の温度は、今も胸の奥に残っている。
青き水、緑の大地、黄の祈り、黒の影、紫の知。
そんな色が、人間とともに歩んだ時代があった――
老いたまぶたの奥で、かすかに揺れる記憶の欠片。
だが、赤は――
老ドラゴンは首をゆっくりと振ると、白ドラゴンを見る。
「それは――友が残していったものだ」
そう言って、老ドラゴンは静かに語り始めた。
厄災呼ばれたあの頃と友と鎖の話を――




