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4-4

ちょっと腹を盛大に下して予定より一日遅れました。

あと右手の方はほぼ完治しましたので、更新ペースを上げていきたいと思っております。

 話を聞き終えて思ったのは「予想以上に役に立たない」という残念なものだった。

 誤解がないように言っておくが、これは俺にとって有用な話ではなかっただけで、他の者――特に魔法主体の英霊たちには良い情報だったのではないかと思われる。

 内容に関しては俺でもわかるように説明してくれているので概ね理解はできており、イザリアが魔術の第一人者と評される理由がよくわかった。

 素人同然の俺でも理解できたのだ。

 本当に丁寧に説明してくれていたのだろう。

 その内容を箇条書きでまとめると大体こんな感じになる。


・魔法を使う特型――所謂人形型はあくまでも模倣であり、あまり複雑な魔法、魔術の行使には向いておらず、余程特殊な個体でない限りは警戒する必要はない。

・人形型に詠唱はない。全ては無詠唱であり、予備動作が一切ないので注意が必要。

・魔法自体は元となったもののデッドコピー。元となったものが強力であった場合は危険なので、しっかりと確認しろ。

・根本は寄生体なので人型でも人と思うな。首を切り落としても動くので、動かなくなるまで攻撃しろ。

・戦術的な動きもする。思考して動いているわけではなく、特定のパターンがあると推測される。例としては遮蔽物を利用する。身を隠し奇襲を行う個体も存在しており、都市跡での戦闘となれば、何らかの探知能力がないなら孤立するな。

 

 全く役に立たない、というわけではなく、魔法に関しての情報が俺には然程意味がないというだけだ。

 戦術的な行動や人型故に倒したと思って油断しないようにするなど、俺が欲しいものはほとんどなかったが、有益な情報は多かった。

 ちなみにデータベースには人形型の情報は載せられておらず、作戦前になって教えられるものらしい。

 相手が人型だからという理由だけで色々と面倒があるとは言え、この辺りはもう少し何とかならないのだろうか?


(今回は事前に予習ができたと考えれば飯を奢る価値はあったかな?)


 話が終わって質疑応答へと移り、何人かがイザリアに気になった点を聞いている。

 中でも人形型が使う魔法については質問が多く、ぶっちゃけ俺にはさっぱりわからない話になっている。


「……となると魔力の反応そのものが根本的に違うということにならない?」


「そう解釈することもできる。これは事前に知らされる情報の中にはないただの経験談だが……魔法の結果を模倣しているのであって、我々が使うものとは過程が異なる可能性がある」


「そんな馬鹿な」という声がちらほら上がった。

 この反応に俺はあることを思い出す。


(そう言えば……誰かが言ってたな。「世界は変われど魔法の法則は変わらない」とか何とか)


 そのお陰でここにいる英霊たちが使う魔法には共通点が非常に多く、法則が同一であるため解析や習得が容易となっており、それは技術面でも同じなので別世界への適応が困難ではない理由にもなっている。


「これに関しては報告はしている。だが確認された事例が少なすぎてな、エデン側も私一人の観測結果だけを基に事実と認定するのは難しい、だそうだ」


 溜息を吐くイザリアにエルメシアはさらに質問をする。


「それ、欺瞞情報を掴まされてる可能性は?」


 エルメシアの言葉にイザリアは「勿論ある」と肯定すると周りが騒然となった。


「これまでの情報から人形型は我々を模倣していると考えられている。だからこれもまた誰かの戦術の模倣と考えることもできる。問題は、これが誰の戦術だったのか? 該当する人物がいない、というのが厄介な点だ」


「それで過程と違うという考えに至ったわけか」


 そう言って考え込むマリケス。

 どうやらこいつも魔法の話ができるようだ。

 仲間はいないかと周りを見るが……どうやら魔法関連がさっぱりなのは俺一人だけのようだ。

 そんな俺を見てクドニクが「どうした?」と声をかけてくる。


「何か気づいたことでもありますか?」


 レイメルがこちらを見てそう言うと全員の視線が集中した。

 これは何か喋らないとまずい状況だ。


「あー、素人意見でもいいか?」


 時間稼ぎの一言にイザリアは黙って頷く。

 もうちょっと何か喋って時間を稼がせてくれ。


「……デペスは文明の利器を利用する、だったな?」


 俺の言葉にイザリアは大きな溜息を吐くという反応を見せる。

「あ、これはしくじった」と思ったところ、予想外の言葉が聞かされる。


「お前もエデンと同じことを言うのか……」


 どうやらエデンも人形型の不可解な点を人類から情報を抜き取った結果と考えたらしい。

 確かにそう考えれば辻褄が合う点はあるのだが、現場に出ている者としてはそれで納得できるか、という話である。

「やはり違うか」という俺の発言には「そうだったら楽なんだがな」とイザリアが苦笑する。


「実際に戦った者が『違う』と感じている。ならば、それを前提に考えるべきだ」


 責任の所在から逃げるように俺はイザリアの意見を肯定する。

 実際問題戦っているのは英霊である彼らなのだから、その意見は尊重するべきである。

 命懸けで戦っているのだから現場至上主義で何が悪いという話だ。

 そんなわけで俺の言葉に頷く者が多いのは至極真っ当な結果であり、第八期のエースが第七期のリーダーの意見に賛同するという形を対面に座る彼らは満足そうに頷いている。


「となれば、この件はエデン側にも動いてもらうか」


 そう呟いたクドニクに我が意を得たりとばかりに笑顔で頷くイザリア。

 どうやら本格的に調査をしたかったイザリアと予算と資材の都合で最低限しか許可できないエデン、この両者の間で色々とやり合っていたらしい。

 そこに俺が賛同する形を取ったので、協力者として今から上層部に殴り込みに行こうと提案された。

 立ち上がるイザリアとそれに続く第七期。

 あれよあれよという間に話は進み、気づけば俺はイザリアと一緒に司令部まで足を運んでいた。

 最初からこれが目的だったのではないか、というくらいスムーズに事が進んでいく。


(思い付きで食事会なんて提案するもんじゃないな)


 後悔先に立たず。

 イザリアと上層部の交渉は成立し、汚染による廃棄前提での最新機材の持ち出しを承諾させた。

 その後、すぐさま研究室に向かって持ち出す機材を選定し、研究員から睨まれつつもホクホク顔のイザリアを横目に彼らには心の中で謝罪する。


「情報料と思えば安いものだろう?」


 笑うイザリアをもう一度闘技場で泣かしてやろうかと思ったが、自分の言葉を思い出して安い買い物だったと思うことにする。

 これでこの話はおしまい……とはならず、後日レイメルから「私たちのことを考えてくれるのは嬉しいのですけども」と情報共有のために上層部と掛け合うことも視野に入れられていたと誤解された。

 当然「買いかぶりだ」やら「あれはイザリアが一枚上手だった」と言ったのだが、マリケスが「お前は女子供に甘いんだな」と言ったせいで話が余計にこじれることになる。

 確か模擬戦が希望だったな、ちょっと地下闘技場まで行こうじゃないか?




 地下闘技場――英霊たちが腕試しをしたり、競い合うことで互いに高め合うことを目的として作られた大規模な施設である。

 ところが実情は不満をぶつける対象を呼び出し、拳でわからせるタイプの校舎裏案件となりがちだ。

 実際、今も銃を持った俺の前には大の字になって床に倒れるマリケスがいる。


「これでもまだ届かねぇか……」


 地の口調になってるマリケスが悔しそうに天井を見ている。

 今回はビークルとバトルアーマーなど換装禁止での戦いとなっている。

 一方的な試合というわけではなく、何度か良い一撃を貰っているのだが、何度も実戦を経験してAPが強化された今の俺に致命傷を与えることなどできるはずもなく、こうして見た目はほぼ無傷という結果に終わっている。


「と言うか、お前の体どうなってんだ?」


 当然そうなれば疑問を持たれるのは時間の問題であり、現にこうしてマリケスに問い詰められることとなった。


「どうやら霊装となった強化服が持ってる能力のようでな……」


 俺はいずれこうなることを見越してとある設定を考えていた。

 APがあるうちは俺の体に損傷ができることは基本的にない。

 強力な攻撃やAPを貫通するようなものに対しては負傷することはわかっているが、その基準は未だ不明である。

 流石に我が身で検証するのは危険なので、機会があればその都度確認していくくらいになるが、それでも現状十分な範囲でわかっている。

 ゲーム同様に強化服のアーマーがあるうちは大丈夫、という仕様を現実にどう置き換えるか?

 その答えがこれである。


「俺が強くなったことでこちらも強化されたらしく、肉体の損傷を霊装が肩代わりしているみたいだ」


 俺の説明に「マジかよ」と体を起こしたマリケスが驚愕している。

 ようやく俺の考えた設定を使うことができてちょっと嬉しい。

 相手がレイメルだと嘘判定をくらいそうだが、話す相手がマリケスならば大変都合が良い。

 マリケスは意外と社交的であり、交友関係が第八期の中では広い部類に入る。

 既に第七期とは闘技場でちょくちょく試合をしており、この設定は自然と周囲に広まってくれるはずだ。


(そうなれば、この体に疑問を持つ者もいずれいなくなる)


 女子供に甘いなどという話を広めた件はこれで相殺とする。

 しっかりと俺の役に立ってほしい。

 だが、この件でちびっ子が調子に乗って禄でもないことを仕出かしたのは別問題だ。


「さて、次は余の番だ。引いてもらうぞ、槍使い」


 当たり前のように結界をすり抜けて現れた最高戦力。

 あろうことか、あのクソガキはフィオラにお仕置きされた腹いせに俺との対戦カードをでっち上げやがった。

 そんなことをしてもこの変態が喜ぶだけだとわかっていないのだから始末が悪い。

 そのことを話したら驚愕していたが、ちょっとマイペース過ぎるというか、周囲の情報に無関心すぎるのではなかろうか?

 ちなみに協力者が当の本人とデイデアラ。

 これが終わったら後日お前らの番だから覚悟しろ。

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― 新着の感想 ―
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