表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/65

2-28

 あれからリソース関連について考えてはみたが、結局結論は「わからない」としかならず、そんな風に悩む俺を見てエデン側はこの件を深刻に捉えたらしい。

「次の出撃までには何とかする」とローガンが出てきて約束してくれたはいいのだが、一体何をするつもりなのだろうか?

 その間、訓練は控えめにするように言われてしまい、座学の方に力を入れることとなったのだが、それにも当然限界はあり、使えるポイントのない俺は時間を持て余していた。

 と言うことでブラブラと廊下を歩いていたのだが、レイメルとばったり出くわした。

 記憶を消費している説が出て以降、俺から武器を借りた面々は会う度に申し訳なさそうにする。

 幾ら記憶の欠落は確認していないと言っても「まだ確定したわけではないから」と心配してくれるのは有難いのだが、一度縮まった距離感が再び離れているように思えて少し寂しくなる。


「何度も言いますが、私にできることがあれば何でも言ってくださいね?」


 一度レイメルに「男に何でもは止めておけ」と言ったのだが、そういう意味も含めて言っているとはっきり言われた。

 手を出せる度胸が俺にあるはずもなく、ロールプレイを鑑みても自室に連れ込むのはアウトである。


「今のところは特にない」


 よってこれが俺の限界である。

 遠慮している風でもなく、淡々と事実として頼み事がないように語る。

 もしかして嘘判定が出ているから何度も言って来るのだろうか?

 ロールプレイではこの判定を潜り抜けることができていないのかもしれない。

 どうしたものか、と考えているところにタイミングよくアリスがやってきた。

 どうやら俺に用があるらしく、何かが入った箱を手渡してくる。


「開発部の方でようやく形になったと連絡があり、急いで持ってきました」


 中を開けてみると入っていたのはブレスレットのような何か。

 端末に表示されたデータを見ながらアリスが端的にこの装置を説明してくれる。


「これはスコール1、あなた専用のリソース管理システムです。管理と言っても現在量が表示されるわけではなく、現状は供給と出力を記録するものです。データを蓄積すれば文字通り管理できるようになると思いますが、何分エデンとしても初めての試みですので上手くいくかはまだわかりません」


 正直に「開発途中のものである」と言うアリスに苦笑しつつ、ブレスレットの形をしているので腕に嵌めてみる。

 戦いの邪魔にはならなさそうだな、と思ったところで警報が廊下に響いた。

「こんな時に」とアリスは悲観的な物言いをするが、いきなり実戦テストも悪くはない。

 アリスに一言言ってからレイメルと作戦室に向かう。

 作戦室に着いたところ、ジェスタが白い歯を見せて笑っていたので多分小規模の襲撃である。


「規模は?」


「小さいな、実戦訓練には丁度いいが、相手がちょっと面倒だ」


 俺の質問にジェスタは背後のモニターに映る獣型を親指で指した。

 今回は獣と昆虫の混合のようだが、ジェスタが言うには前回の襲撃で出てこなかった、或いは取り残された連中が出てきたのだろう、とのことである。

 稀にではあるが中規模以上の襲撃があった後に中途半端な期間で再襲撃があり、この場合はデペスのタイプが前回と一致することからそうなっていると予想されているのだと言う。


「なるほどな」


 先に到着していたマリケスがジェスタの説明に頷いている。


(というか、クドニクと一緒に戦うつもりなのか?)


 マリケスがクドニク率いる一団にいる。

 メンバーが二人欠けたので補強してやるつもりなのだろう。

 クドニクは生前結構な有名人だったらしく、彼に関する文献もデータとしてエデンに存在している。

 恐らくだがマリケスはそれを閲覧して「手を貸すに値する人物」と判断したのかもしれない。

 続々と集まる第八期だが、今回は珍しくリオレスが最後に到着した。

 何かあったのかと思ったが、それを尋ねる時間はない。


「それじゃ、早速始めようか」


 そう言ってジェスタがモニターの画面を切り替える。

 エデンの周辺図と敵影が表示され、今回の襲撃規模を示すがその数何と二十万強。

 これまでの襲撃と比較すると随分と少なく、ドローン空母も見当たらない。

 ジェスタも「メインの襲撃に加われなかった余りものだからこんなもんだ」と俺たちの心中を察するように頷いている。


「これだと稼げなさそうねぇ」


 面白くなさそうに溜息を吐いているエルメシア。

 デイデアラも同意見らしく、あからさまにやる気をなくしている素振りを見せている。


「と言うことで、だ。今回は第七期と第八期の合同訓練として出撃してもらうことになった」


 ジェスタがそう言うや否や作戦室の扉が開き、中に入って来る第七期の面々。


「色々と意図はあれど勝ちは勝ち。今回はこちらの指揮に従ってもらうぞ?」


 第七期を従えイザリアがニヤリと笑う。

 そこに「やる気出ねえなー」とイザリアの何処かを見つめながら机に頭を付けるデイデアラ。


「安心しろ、髭。お前はしっかり使い倒してやる」


 それと、と付け加えたイザリアは俺の方を向く。


「スコール1。事情が事情だ。今回は控えめにしてもらうぞ?」


 俺のリソース関連で不明な点が多いのは事実なので言いたいことはわかるのだが、今回はそのためにこの装置を貰っている。

 デペスの汚染を考えれば一回で壊れる可能性もあるので、できれば何かしらの結果は残したいのだが、早々に釘を刺されてしまった。


(いっそ今回は外していくか? いや、これは出来る限り早めに解決したい問題でもある)


 まあ、控えめにと言われているだけなので、派手に暴れなければ大丈夫である。

 最悪、暴れることになっても「控えめに暴れました」と言えばOKだ。

 なので真横にいる嘘発見に検知されないように黙ってイザリアの言うことに頷いておく。

 今回の作戦内容は至って単純。

 初動で敵の勢いを殺し、包囲して敵がまとまったところをイザリアが殲滅という七期お得意の戦術である。

 そんな訳でサクサクと戦闘の流れが決まり、小規模のデペス襲撃に対して合同訓練が実施されることとなった。



 ゲートを出たところで全員が集合。

 送迎用の二階建てトラックも用意されており、出撃メンバーが乗り込んでいる。

 俺は勿論自前のバイク。

 地球軍VSの最新作ではビークルと言えばバイクになる。

 車両がないわけではないのだが、乗り心地がゴミ過ぎて乗る気がない。

 性能、操作性も劣悪なので装備を入れ替えるだけのものとなっていたのが「車」というカテゴリのビークルである。

 VR化の弊害で操縦が難しくなり、使用者が極端に少なくなったことで航空機に至ってはカテゴリそのものが消えている。

 最新作では設定上空軍も機甲部隊もいなくなっているので仕方のないことかもしれないが、前作のマルチプレイで爆弾満載のトラックで自爆特攻とかして高難度ミッションをぶっ壊していなければ、まだ可能性はあっただろう。

 ちなみに最新作でのマルチプレイではプレイヤーたちは「バラバラに招集された兵士の集まり」という設定になっておりストーリーは皆無に近い。

 当然スコール1は別の場所で戦っている、とかそういう設定すらなく、純粋にプレイヤーたちの活躍で宇宙人に打ち勝つ形になる。

「野生のスコール1」や「非公式チート」とまで呼ばれるバケモノが混じる界隈である。

 ストーリーを凝ったところで整合性が取れなくなるのは目に見えており、開発の判断は妥当であったと言う外ない。

 そんな訳でバイクに跨り作戦ポイントへと向かう。

 と言っても輸送車両と並走しているだけである。

 今回の構成は第七期がイザリアを残して二手に分かれ、第八期は俺とリオレス、デイデアラが単独行動。

 それ以外はクドニクのチームとケイの作った防御陣地での迎撃となっている。

 防御陣地にはエルメシアとジャミトスが加わっており、不足していた火力は十分に補えており、残るメンバーを加えて大所帯となったクドニクチームも問題はないだろう。

 

「やり方は知っての通り、敵を固めてまとめて殲滅。必要に応じて指示を出す。適当に暴れた場合、私の範囲攻撃に巻き込まれるからな、指示には従え」


 死にたくないならな、と付け加えたイザリアはパンと一つ両手を鳴らす。


「まずは敵の進軍を止める。諸君らの奮闘を期待する」


 作戦開始を告げるイザリアが笑い、全員が動き出した。

 装置のこともある。

 それとなく敵を気持ち多めに倒すくらいの感覚でやるとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
クドニクの文献って同じ時代に生きてた会ったことがある人がソースなんかな。 主人公が感じたクドニクの第一印象と違いすぎるのが気になるよなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ