ロシアナの決意
「それで……この子は一体誰の子なんですか?」
応接室でロシアナさんから高級そうなお茶を出され、味も分からないまま一口飲んだ俺に最初に切り出だされた言葉はリーファに対しての関係だった。
いつになく真剣なロシアナさんは緊張しているようにも、不安そうにも見える。確かに俺とロシアナさんとは冒険者をやり始めた頃からの付き合いがある。しかも俺がA級になり何を勘違いしたか天狗になっていた時期も、その後に全てをなくしてどん底に落ちた時も変わらず献身的にサポートをしてくれた恩人だ。そういった意味からも俺は話そうと思ったのだが。
「その、ちょっと前に西区でクエストを受けた際に、路地に一人でいたこの子、リーファを見つけまして。外っておくことも出来ず保護しました」
「西区って………あの時……私が頼んだクエストですか!?」
ロシアナさんは驚いた表情と、それと色々な事を考えているのだろうか。その後暫しの沈黙が続いた。
俺が何故この子を保護しているのか、それに何故施設に入れずにいるのか。
答えは単純、今の孤児院の評判があまり待遇がよくないからだ。それを俺でも知っているくらいだ。ロシアナさんは当然その事も分かっているのだろう。
「これからリーファちゃんとどうするのですか。 大人になるまでに一緒に暮らすのですか?」
「そのつもりでいます。 そう決めましたから」
「ハイケル……いいの?」
「いいんだよリーファ。 お前を拾った時に俺は始めからそう決めてたんだ」
「うん。 …………ありがとうハイケル」
俺は今の関係が崩れてしまうんではないかと不安そうにしていたリーファの頭を撫でて、少しでも不安を取り除いてあげれるように優しく接した。
「ハイケルさん………」
「すいませんロシアナさん。 これは俺が決めた事でロシアナさんがもし、クエストを受けさせた事でと罪悪感を持たれたのなら気にしなくても大丈夫です。今はリーファと一緒に暮らし始めて俺は楽しいんです。 新しいことの発見が毎日あったり、苦労もあるかもしれませんが頑張って乗り越えていくつもりです」
「………………つもりでは困りますハイケルさん」
「いや、まぁそうなんですけど。 俺も勉強して…」
「私も一緒にリーファちゃんを育てます」
「えっ?」
「ですので、私も一緒にハイケルさんの家に一緒に住んで育てます」
「ちょっ…………それはいくらなんでも無茶苦茶ですよロシアナさん!」
「無茶苦茶ではないです。 ハイケルさんはどうするんですか? リーファちゃんの勉強は? 大きくなってきた時、男の子とは全然違うんですよ女の子は。 それに下着を買いに行ったり、男性とのお付き合いの仕方などリーファちゃんにちゃんと教えてあげれるのですか?」
「いや〜。 それは…………」
「ハイケルをイジメないでっ!!」
「「…………」」
「ごめんねリーファちゃん。 でも大切なことなの。 私も一緒にハイケルさんとリーファちゃんをちゃんと大人の女性になるまで育てたいの」
「ハイケル……この綺麗な女の人、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。ロシアナさんは俺が一番信用している女性だから。だから今もリーファの事をちゃんと真剣に考えてくれているんだ。 だからもう少しだけ聞いていてくれるか?」
「うん………分かった」
ロシアナさんは俺より年齢が1つ下だが、結婚はしていない。新人の頃から人気で入ってきた時はそりゃもう冒険者の中でとんでもない新人が来たと話題になるほどの美少女だった。その美貌は今も健在で35歳になってもスタイルも変わらずいられるのは見えないところで普段から余程の努力をしているからなのだろう。
だらしない生活の俺とは大違いだ。
しかし、何故そんな美人で誰に対しても平等に優しいロシアナさんが俺と一緒に暮らす?
信じられないのだが………どうしよう。
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