美人受付嬢 ロシアナ
スライムを討伐し、夕暮れに差し掛かかる頃だろうか、俺とリーファは王都に戻って来ていた。あの後もリーファからスライムの場所が分かると連れ回されたのだが、リーファの魔力量には正直底が見えなかった。エルフという希少種族は魔力が多いとは知っていたが、まさかこれ程とは。
ご機嫌なリーファを横に、俺はギルドに向かう道中ロシアナさんの事を考えていた。
ロシアナさんには随分と世話になっているからな。この子の事はどこまで話していいか迷うところだが、大まかなところは話しておきたい。
流石に俺がロシアナさんの前に子供を連れて来たら驚くだろうな。俺も逆の事をされたら飛び上がるほどビックリするだろうし。
下手したらショックで寝込むかもしれない。
おじさん意外と硝子のメンタルなんだよ。
「ここが前に話していたギルドだよリーファ」
「ここがハイケルの仕事を受けるって言ってた場所のギルド?リーファ初めての場所、楽しみ」
「じゃあ、入ろうかリーファ」
「うん!」
いつものギルドの扉を開け俺は奥に座っているロシアナさんに声をかけようとしたのだが、俺を見るなりロシアナさんは目を見開きロボットのように固まっている。それと目が俺とリーファの間をギュルギュルと凄い勢いで行来している。
いつもの清楚で何でも対応出来るベテランの美人受付嬢のイメージはそこにはなかった。
いや、ちょっとは想像してたけどさ。
「ど……ど………ど……どうしたんですかその子はっ!!? ハイケルさん………あれ? もしかして………ご結……婚されてたんです……か?」
「あ〜いや〜………これには深い事情がありましてね。 ここでは何ですから………その………話す場所でも用意して頂けると嬉しいですが…………」
「あ…………はいっ! そ……そうですねっ!! ここでは何ですので、奥の応接室をご準備しますので少々お待ち下さいっ!!」
そう言ってロシアナさんは凄い勢いで立ち上がり奥の応接室に向かって走って行った。
あんな姿、王都近辺でA級難度のオウガが出没した時だって見せた事ない。
よっぽど動揺したんだな………。
「ねぇハイケル? あの美人の人ってなに?」
「え………? 何って言われてもギルドの受付のお姉さんだよ………?」
「ふ〜ん」
何? 何その顔? そんな不満そうな顔されるとおじさん困るんだけど。
あれから何分待っただろうか? たかが数分の事だったと思うが、暫くしてロシアナさんに呼ばれ応接室にリーファと一緒に入ったのだが、俺には何十分も待たされたようにも感じた時間だった。
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