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オッサンとリーファ。死の樹海へと向かう。

 俺達は魔女のマチルダの依頼を受けてから死の樹海へと向かった。

 いつものように龍舎で地竜を狩りて走っているのだが、今回は日帰りという訳にはいかない。ロシアナにはマチルダの依頼を受ける事にしたと伝えたので暫く留守にしても大丈夫なのだが、本当はこの依頼を受けてよかったのか今でも迷っている。ギルドのクエストだ。受けること自体は問題ない。だがずっと心に引っかかってることがある。


「ハイケル、さっきから全然喋ってないね。 魔女さんと会ってからずっと変だよ」


「ああ。 ちょっと色々とね。 あのマチルダという子は俺達が思っている以上に普通の子だったな……」


「うん。 リーファもそう思った。 それに微精霊達も怖がってなかった。悪意ある人には微精霊は寄り付かないから、きっとあの魔女さんは魔女の中でも特別な人なんだよ」


「ああ。 そうなのかもな」


 だが、魔女アーロンの血を引いているのが問題だ。この世界を滅ぼそうとした最悪の魔女バーバラ・アーロン。大罪を犯した魔女を世界は許さなかった。歴史の中で彼女は魔女狩りにより一生を終えた。末裔のバーバラがどうしてあの大量の呪いを掛けられているかは何となく想像がつく。魔女の血を色濃く受け継いでいるだけで世界の驚異だからだ。今を生きているのは、なんとか殺されずに生かされた(・・・・・)のだろう。


 あの子と話して分かったのは、復讐心や野心を持っているようには感じなかった。

 それどころか、静かに暮らしたいという表情の裏に、未来を諦めているかのような、そんな気すら覚えた。

 まるで俺がライセンスを剥奪され何もかも失った時のように、生きることの喜びも、悲しみも、楽しさも、感情がなくなり何をやっても虚しく感じたあの頃のように、俺と重なって見えてしまったのだ。


 あの子は何も望んでいないと言いながらも、自分の二度と発動出来ない魔法の才能に苦しんでいるのではないかと思ってしまった。自分から剣を取り上げられてしまったら俺だったらどうなってしまうだろうか。

 なんとも考えさせられてしまう人物に出会ってしまったもんだよ。

 他人の事を考えるなんて俺らしくもない。リーファやロシアナという大切な家族を持ってから自分の考えが変わっていくのがよく分かる。


「ハイケル。ねえハイケル!」


「ん? どうしたリーファ」


 油断していた訳ではないが、リーファに任せ過ぎてしまっていたな。これから危険なところに行くというのに気を引き締めなくては。


気配察知(サーチ)でこの先に魔物の群れがいるよ。丁度進行方向に。 どうしようか?」


 この先の渓谷をぬけるにも道は一本だ。避ける事は難しいだろう。比較的このエリアの魔物は強くはない。そのまま進んでも俺とリーファなら問題はないだろう。


「スピードを落としてゆっくり進もうか。 魔物の群れを確認したい。 側まで行ったら闘い方を考えよう。 数や大きさとか分かるかリーファ」


「うん。分かるよ。 魔物の数は10体。 それも結構大きい10メートルくらいある」


「10メートル………大きい中型の魔物だとしたらこの渓谷に住処にしているワイバーンか」


 二人は地竜の足を緩めて進んで行くと、ワイバーンの群れがその中の一匹を囲み、攻撃をしかけていたのだった。


「何だあれは?」


「ワイバーン同士が喧嘩してるね」


 魔物同士、それも同族間の争いとは珍しい。単に目にしないだけかもしれないが。一匹相手に複数匹で仕掛けるとは何処の社会も似たようなもんだな。見ていて魔物といえど気持ちいいものではない。


「可哀想だね。 あのワイバーン……」


 リーファの一言が、俺を剣を握らせる理由になったな。

 よし。取り敢えず切ろう。


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