謎に包まれた依頼主
依頼主に興味を持った俺は、いつものようにクエストボードから依頼表を取り、カウンターで仕事をしているロシアナに声をかけた。
「ロシアナ。 この依頼主はどんな奴なんだ?」
クエスト票を見てロシアナは、またかと言うように小さなため息をついた。
どうやら知っている人物らしい。
「この依頼主はマチルダ.アーロンさんよ。 凄い可愛い女性の方なんだけど、たまに依頼を出してくるのよ。 ギルドとしては詳しく事情を教えてほしいのだけれど、全然教えてくれないから私達も困ってるお客様なのよね。 悪い人じゃないとは思うんだけど」
仕事では誰にでも愛想のいいロシアナが、明らかに迷惑そうな顔してるな。まぁ、たまに猫や動物、落とし物の捜索クエストが貼り出されるくらいだ。他人からしたら下らないクエストも中にはある。だから些細なクエストでも本人がお金を出して依頼をするならギルドも不正がない限り受諾する。今回もそういった類だが、取りに行くでも場所が悪い。
「たまにってことは、何度か死の樹海に行くクエストが過去にあったのか?」
「毎回ではないけど、今回は死の樹海にある薬草みたいよ。 なんでそんなとこまで行って薬草を取ってくるのか私にもさっぱり分からないの。 過去にも似たようなクエストを貼り出したけど、マチルダさんの依頼を一度も受けた人なんていないわ。 報酬に見合ってないもの。 一応本人に言ったんだけど、でも金額の話をしても絶対に譲ってくれなくて………」
「なるほどな。 とことん変わった女性だな。 引き受けるにしても理由は聞いておきたいな。 本人に直接聞いてみるか………」
単純に薬草をそこら辺で取ってきても、ギルドに提出した時に、鑑定士に薬草の取ってきた場所を確認される。 それは依頼を受けた冒険者もそうだが、依頼をする依頼主もそうだ。わざと危険を誘発させるような依頼は御法度だ。 だから不正なんて出来ない。普通に薬草を取りに行く依頼なんて、他のクエストでもいくらでもあるくらいだ。わざわざ危険で遠い場所まで行く冒険者なんていないだろうな。
はっきり言って誰も受けないだろう。
【死の樹海】とは、遥か昔からあるアーマリア大陸の北に100km程離れた場所にある樹海の事だ。
この樹海は昔から手付かずの状態で何もかもが残っている。俺がA級冒険者だった頃から今まで何も対策されずにだ。普通だったらアーマリア大陸の古い歴史の中で何か対策がされてもおかしくない筈なのに、それが出来なかったのだ。
王都レガイアがアーマリア大陸最強を誇っていても、この死の樹海を攻略できない理由がある。
それは単純に魔物が強いからだ。
魔素と呼ばれる魔物に必要な要素が、死の樹海には豊富にある、奥に入れば入るほど、効果は高く、魔獣や魔物は強くなる。
そんな所に行ってまで薬草を取ってくる理由を俺は知りたくて、リーファと共に依頼主の元を訪ねる事にした。
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日間ローファンタジー部門 55位獲得
元A級冒険者のおっさん少女を拾う。〜神童と呼ばれた男はアイテムボックス持ちのエルフ少女と一緒に王都で自由気ままにスローライフをする〜
こちらも連載中になりますので宜しくお願いします!
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