イカれた依頼主
「うっひょー!!!! これが空か!! こんなに高くから見たアーマリア大陸なんて初めてだっ! レガイアがあんなに小さく見えるぞリーファ!」
「凄いねハイケル!! 空って気持ちいいねっ!! リーファも空飛んだの初めてで、感動だよ!!」
「ああ、これは凄いな!! これならどこへでも飛んで行ける!!!」
「リーファ、色んな所に行ってみたい!!」
「ああ! このクエストが終わったら海や山、街でも何処でもいいぞ! なんせ最高の気分だからな!!」
「やった〜!! なら海に行きたい!!」
「よし、なら早く終わらせるために死の樹海に向かうぞリーファ! グラ、頼んだぞ!!」
「グラァァァァッ!!!」
空を舞う。人族に生まれた時、誰しもがどこまでも広がる空に憧れを抱く事は一度くらいはあるだろう。
羽もなければ、魔法使いだって浮遊魔法を使えるのは本当に極一部の限られた大魔法使いくらい。いくら優れた冒険者や魔法使いでも、この世界に存在する重力には抗えない。それくらい空を飛ぶことは困難なことなのだ。
まぁ、それは一部を除いてだが。
例外で空を飛ぶことを可能にする職業がある。それが魔獣使いだ。
魔獣使いは、魔獣を小さい時から育て、隷属の首輪を付けることで主人に害を成すことが出来なくなり、従わすことが出来る。
かつてドラゴンロードど言われた魔獣使いがいたらしいが、100年以上昔で今や伝説みたいな話だ。
強い魔獣を従える事が魔獣使いの一種のステータスだが、そもそも信頼関係が成立しないとテイムすら出来ない。
獣臭さや、宿代も別に料金が発生し、食費も従える魔物によっては維持がかかったりと。戦闘以外でも気に掛けてあげないと機嫌を損ねてしまう魔獣は、パーティー泣かせと言っても過言じゃない。
職業の中でも至極難易度の高い、それが魔獣使い。勿論、今では不遇職の一つだ。
なんで魔獣使いでもない俺達が、こんな事を言っているかって? そりゃあ、俺とリーファがワイバーンを手懐けてしまったからだ。
時は遡り半日前、俺とリーファはクエストを受けに行くと、いつもの受注板の隅に目についた依頼があった。
「死の樹海にある新鮮な薬草をあるだけ取ってきて欲しい?」
「死の樹海って?」
「北に100キロ位離れたとこにある樹海だよ。 魔物が多くて危険な場所だ」
そんな場所にわざわざ行って、ただの薬草を取ってこいなんて正気とは思えない。しかも危険度に見合わない依頼料ときた。俺はイカれた依頼主に俄然興味が沸いた。
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