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リーファの気持ち

 食卓に並んだご飯を食べ終わった後、俺はロシアナに全てを説明した。

 これまで確認出来たアイテムボックスのスキルのこと、そのどれもが高位魔法使いでないと使えないような魔法を、スキルで簡単にリーファは再現し連発できてしまうこと。

 このまま行けば、ただの魔法使いではなく。将来、大魔道士になり得ることを。


 黙って聞いていたロシアナは、リーファの手を握り、優しく問いかけた。


「リーファはどうしたい? ハイケルの言うように王都で魔法のお勉強をもっとしたいのかな?」


 ロシアナには夜や隙間時間に、読み書きや算術を教えて貰っている。たった1時間くらいだがリーファは進んで勉強してくれている。

 元々頭がいいのに加え、勉強も好きな部類に入るから、俺達では分からない古代語や魔法の技術を学ぶなら、本来王都の専門学校に入った方がリーファの為ではあるのだが。いや、実際そうだろう。

 そうなったらリーファは王都の魔法師団のいる学校に入って、この家に帰ってくることは少なくなる。

 なら、騒がしかったこの家も随分と静かになる。いつの間にかリーファがいることが当たり前になった事を痛感するな。

 駄目だ。考えたら俺が泣けてきそうだ。

 この年になると涙もろいんだよ。


「ハイケルと一緒にいる。 リーファはロシアナとハイケルと一緒に過ごす時間を大切にしたいの」


 リーファの目は真っ直ぐで、始めからそう決めていたかのような台詞だった。


「リーファ。 小さい頃からずっと色んな魔法を勉強してきたの。 いっぱい勉強して教わって、使えるようになって。 楽しかったし勉強は全然辛くなかった。 だから王都の勉強もいいなって思う。 でも、ハイケルと出会って一緒に冒険して思ったの。 私は冒険者のハイケルに色々教わって強くなりたいって」


「それは王都ではできないのかな? 勉強しながらでも高度な魔法や、専門技術を学べて、勿論学んだことを実践で試す模擬戦もあるわ。 ハイケルや私じゃなくても、より高い技術を習得できるのが王都の魔法師団学校よ」


「うん。 私には魔法も大事だってこと分かってる。 でも私はハイケルとロシアナに教わりたい。 パパやママのような二人に教わりたいの。 だって本当のパパやママはもうこの世界にはいないから」


「リーファ…………」


 俺がずっと聞けずにいたリーファの両親の事。薄々気づいていた。リーファの両親はもう他界していて、いないのだろうって。

 ずっと大切に育ててもらってたのは、リーファの素養で直ぐに分かった。こんなに大事に育てられた子が捨てられる訳がない。両親に愛されていなければ、こんなに素直な子に育つ筈がないからだ。


「ハイケルもロシアナもありがとう。今までリーファに気を使って聞かないでいてくれて」


「いや、俺の方こそごめん。 リーファ、辛い事を思い出させるような事を言わせてしまって」


「ううん。 いいの。 リーファが二人に大切に思われてるって分かってるから。 うれしかったの」


 俺が考えてる以上にリーファは大人だった。既に自分の意志を持って日々を過ごしていたとは、過去を乗り越えて強くなろうとしているんだ。

 いかん。立派過ぎて涙出てきた。


「ハイケル。 涙(もろ)過ぎるよ……」


「いやぁ、ごめん。ごめん。 なんか考えてたら涙が………」


 今まで通り、俺とロシアナは、リーファの意見を尊重して大切な日々を一緒に過ごす事にした。リーファが大人になって家から巣立つその日まで。


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出来るだけ毎日とはいきませんが頻繁に更新してますのでグッドボタンも宜しくお願い致します!

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