リーファ誘拐犯と闘う
「大層な自信ですね。 なら、あなたの魔法ですか? 見せてもらいましょうか?」
「いいよ……………リーファのとっておきを見せてあげる」
リーファはもう既に発動体制に入っている。しかも見るからにチカチロはリーファ相手に油断してる。それはそうだろう。9歳の子供が相手なんだ。
俺も初見で子供相手っだったら同じ対応になるだろう。でも相手はリーファだ。普通の子供とは違う。あいつはこれから起こる事に度肝を抜かされるだろう。だってリーファは特別な子供なんだからな。
「いくよ……………」
「いつでもどうぞ。じっくり甚振ってさしあげましょう」
『 収納っ!! 』
「……………え?」
その瞬間、チカチロの両手に持っていた武器から身につけている物全て、そして隣にいた主犯格の男、周りの誘拐犯まで身ぐるみを全て剥がされた。リーファのユニークスキル、【アイテムボックス収納】で、全てを奪われたのだ。
「なななな…………! なんなんですかこれはっ!?」
おっ、やっぱり成功したみたいだな。しかも慌てて立派でもないあそこなんて隠して、一応あいつも羞恥心は残ってるみたいだな。
俺も始めは目を疑ったよ。試しにリーファのアイテムボックスを相手に向けて放ったらどなるんだろうと興味本位でやらせてみたのだが、俺の剣は見事に簡単に収納された。それに動いてても関係なかった。
次にやったのはロシアナに許可なく服の一部を収納することだ。下着を抜き取ったのだが、これもあっさりと収納出来た。後で怒られたが。
分かったのは相手の意思関係なく取れることだ。そして、おそらくリーファの射程範囲内にいるとスキル効果があることもわかった。
特殊魔法の魔法障壁や、魔法反射、魔法耐性のある魔法使いに使ったらまた違う結果になるかもしれないが、剣士やなどの前衛職にとってはリーファは前衛殺しと言っても過言じゃない。
なんせ、他の人間の実力がどうとか関係なく奪い取れるんだ。これは正にチートってやつだよ。
おじさんマジで目を疑ったよ。
『森の精霊よ……私に力を…………拘束魔法、極上の南京錠』
「なっ!?」
突然地面から無数に生えてきた蔦が、チカチロと他の誘拐犯を目掛け飛びかかるように襲いかかる。
まぁ、身ぐるみ剥がされたお前らじゃあ、対応するのはムリだろうな。アイテムもなければ、武器もない。使えるのは支援魔法や、強化魔法くらいだ。でも予想もつかない事が突発的に起きたら結果は決まってる。
身案の定、動揺していた誘拐犯達は避けきれずにチカチロ諸共拘束が完了した。
「そんな…………馬鹿な…………あなたには志ってものがないんですか!!」
「いやいや、お前ら悪党にそんなこと言われてもさ………手段を選ばないんならこっちだって同じだろ」
「卑怯ですよこんなの!! だからあなたは隣にいて何もしなかったんですね!!」
「おうおう。 真っ当な事を言うねぇ。 でも、お前達クソ野郎に、こっちはまともに付き合うつもりはないんだよ。 なんせ子供が2人誘拐されてるんでね。 終わりなんだよお前達は」
「くっ…………卑怯者共が!!」
「はいはい………なんとでも言ってろ。 あと、お前の持ってた武器珍しいよな。あれは高く売れそうだ」
その話になった途端、チカチロの顔色が変わる
「あっ、あれは希少な武器なんです! 返しなさいっ!! あなた達みたいな劣等種が扱える武器じゃないのですよ!」
「あ………じゃあ売ることにするよ。 使い道なさそうだし」
「武器の価値も分からない馬鹿共が……許さん………許さんぞ………殺してやる!!」
「殺してやるとか、リーファが怖がるだろ。 俺はお前のような変態が一人でも減って嬉しいよ、っと」
ハイケルは思いっ切りチカチロをぶん殴り失神させると、同時にこの闘いの終わりを告げた。
俺はリーファを抱き寄せ優しく頭を撫でた。
「ハイケルやったよ。 誘拐犯全員捕まえたよ。 でもあの人、卑怯者って言ってたけどよかったのかな?」
「いいんだよ、変態の言うことなんて間に受けなくても。 それより凄いじゃないか!! ほんとビッグボアに続いてお手柄だよ。名探偵、いや、天才魔導士の誕生だよっ。 討伐に続いて、誘拐犯まで捕縛なんて凄すぎたよ」
「えへへ………ハイケル褒め過ぎだよ」
「いやいや、本当の事だよ! 俺よりも全然凄い事やってるから」
「いや…………ちょっと待ってくれよ。 相手は元S級の殺人鬼チカチロだぞ………いくら何でもおかしいだろ」
後ろで動けなくなり、休んでいたアナスタアはリーファの実力を見て開いた口が塞がらなかった。
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