依頼主のディアナと争う冒険者
朝早くから俺とリーファは、ロシアナから依頼された依頼書を持ち、西地区にある協会にある依頼主のディアナさんから話を聞くために足を運んだ。
いやぁ、何度見てもここだけは大都といっても廃れた家や、貧しい人がいることで、まるで別の街にでも来たかのようだ。
「ここか。 なかなか年季の入った教会だな」
「……うん。 そうだね」
修繕されてはいるが、ところどころ壁の一部が剥がれていたり壊れている箇所もある。隣に建てられた孤児院も同じか、それ以上だ。これはなんとも言えない気持ちにさせられるな。国からの援助を貰っているからといって、とても満足のいく暮らしが出来ているとは思えない。
孤児院に入ろうとすると中から騒がしい声が聞こえてくる。子供達がいるから賑やかになるのはリーファと暮らし始めて分かってはいるが、どうも様子がおかしい。誰かと言い争っているようにも聞こえる。
ハイケルはドアを開けて中に入ってみるが、そこにはシスターと他の冒険者らしき女性が言い争いをしている。依頼主とでも何かドラブルでもあったのか?
「なんで私に最初に相談しなかった!? そうすれば依頼料なんて必要なかっただろ!」
「だって仕方ないじゃない! あなたは他のクエストに出てていないって受付の人に言われたんですもの!」
「そりゃ仕方ねえだろ! そんな事知ってたら直ぐにでも帰ってきてる!」
「私だって考えたわよ! でも王都はこれ以上動いてくれないし、カミラとミリスを助ける為にはこうするしかないじゃない!」
「私が探しに行く!! だからお前はクエストを取り下げてこい」
こりゃ、話しかけるの気まずいな。だからといって話さないのも時間の無駄だ。俺と同じ冒険者なら一緒に二人の捜索をしてくれるかもしれない。そう思って声をかけたのだけども。
「あの………お話中悪いんだけど」
「ああっ!!??」
話の途中で割り込まれたのが感に触ったのか、その冒険者と思われる女は鋭い目つきでハイケルを睨みつけた。
「何だおっさん!? 今はおっさんと話をしてる暇がねえんだ! 悪いが相談なら協会にでもお祈りをして家に帰って大人しく寝てろ!」
「いや、ディアナさんの依頼を受けて来た、冒険者のハイケルだ」
矛先をディアナにも向け怒鳴りつける。感情が収まらないといった様子だ。
「ほらみろ、だから言ったじゃねえか!! 余分なクエストを貼るとこんな使えねえおっさんが湧いて出てくるんだよ。 足引っ張るだけならいらねえんだよ」
「こら!! そんな言い方ないじゃない! 安い依頼料で来てくださった大切な冒険者様ですよ! 」
「俺も二人を探します。 こっちの冒険者は?」
「おっさんに名乗る名前なんてねえよ。 それにクエストは私一人でやる。 おっさんは着いてくるな」
「と言われてもな、依頼を受けてるんだ。そうもいかないだろう」
「依頼料なら私が払う! おっさんは黙って家に帰れっ!!!!」
そう言って激昂した女の冒険者はハイケルの前を勢いよく通り過ぎ、ドアを大きな音をたて閉めていった。
「お見苦しいところを申し訳ありません。 決して悪い子ではないんです」
「はあ………そうなんですか」
これは前途多難になりそうだ。
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