ビッグボアを食す!
「今日はボアの焼き肉よ」
「っし!!」
「やったー!!!」
ロシアナの言葉にハイケルとリーファのテンションが上がる。
この世界でボアの肉は美味い。色々な肉の種類があるが、安いのに美味いのがボアの肉だ。
ボア、ビックボア、クレイジーボア、キングボアと色々な種類のボアがいるが、どの種類の肉もハズレがないのが特徴だ。
アイテムボックスがあると全ての狩った魔物を余すことなく持ち帰り、こうやって料理したりすることが出来るのは本当に便利だ。いや、チートだ。
今まで諦めて討伐部位だけ回収していたところを何も気にせずにいられる事が、どれほど凄い便利になったか改めて実感する。
マジ、リーファ神だよ。尊敬するよ。
ロシアナは手際よく肝臓と心臓、舌、首、背中と切り分けていく。
一人暮らしをやっていたこともあり、手慣れたものだ。こういうときに料理の出来る奥さんを持つと本当に幸せを実感する。
部屋に美味そうな香りが更に食欲を掻き立てる。
やばい。お腹がさっきからぐーぐーと、早く食べさせろと言ってくるじゃないか。
リーファも本を読んでいるがさっきからチラチラとロシアナの方ばかりを気にしている。考えていることは同じなんだろう。
帰って来る前にスイーツを食べてきたってのに成長期のリーファには関係ないみたいだな。
「はい。 二人とも出来たわよ」
薄く切られた香ばしく焼かれた舌、柔らかそうな脂肪の割合が絶妙な背中、鉄分を多く含んだ串焼きになった肝臓と心臓、ぷるぷるにタレで味付けされた首が大皿に盛り付けられて食卓に並ぶ。
リーファは急いで本を置いて、いつもの席に座る。
「「「 オリュムポスに感謝を 」」」
今日は贅沢に米を使ったご飯をまで炊いてある。
流石ロシアナ、ビックボアの食べ方を熟知している。
最初に食べるのといったら決まっている。俺はご飯に舌をのせ、箸で巻いて食べるように口に入れる。
「うっま!!」
「美味しいっ!!」
口の中で甘みが広がりご飯がより進む。リーファも同じように真似て食べてみるが、俺と同じ反応だ。
「まだご飯も沢山あるからお代わりしていいからね」
「ありがとうロシアナ」
「はーい」
美味すぎて俺はかき込むようにご飯を食べていく。次は串焼きの肝臓と心臓だ。
取って食べると、またこれがエールが飲みたくなる。
それを感じ取ったのかロシアナは奥からエールの入ったジョッキを持ってくる。
「はい。 一日お疲れ様。 飲みたくなったでしょ?」
「あ、ああ。 ありがとう。 よくわかったな」
「それは、あなたの顔に書いてあったから」
「はは。 よくお見通しで」
まじでロシアナさん出来る嫁だな。俺には勿体ないくらいの仕事の出来る奥さんだ。
「っぷはぁ!!! 美味いっ!!」
串焼きに、焼き肉に、ご飯とエール。これは最高の組み合わせだ。
俺はガツガツと串焼きを平らげ最後に残った首と背中と口の中に豪快に放り込む。
「美味い、美味すぎるっ!!」
首の上質な脂、絶妙なタレ加減の背中が俺を幸せの彼方へと連れて行く。
「いやぁ。 お腹いっぱいだよロシアナ。 いつもありがとう」
「どういたしましてあなた」
「リーファもお腹いっぱい!」
本当に最高だよ、料理の出来る奥さんって。居酒屋もいいが、家で作ったロシアナの料理は世界一だ。
結婚してよかった。
これだからボアの討伐は止められん。
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