リーファ、ビックボアと対峙する
「これで大丈夫ハイケル?」
「よく出来ました、リーファ。 これで直ぐビッグボアも直ぐ見つかるよ」
依頼書を見て戻った俺とリーファは、再度ビッグボアを探すために森へと足を踏み入れた。
少しの切っ掛けがあれば、リーファは理解する能力もある。元々本がすらすら読めるほど頭はいい。今も既に感覚を掴みつつあるのがリーファの凄いところだ。
「見てハイケル。 糞がある。 ビッグボアのかな?」
「そうだね。 これはビッグボアの糞だ。 もう縄張りに入ってる証拠だ。 ここからは注意して進もう」
「うん。 分かった」
リーファは真剣な顔をして、足を忍ばせながらゆっくりと進んでいく。
さっきとは違い真剣だ。これなら討伐も大丈夫だろう。
「リーファ。 倒し方は事前に教えた方法でいいね」
「うん。大丈夫」
ビッグボアの足跡と糞を頼り暫く進んでいくと、茂みの向こうには6体のビッグボアが群れを作って戦闘体制に入っていた。
ビッグボアは巨体の割に嗅覚が鋭い。
こちらが近づいてきている事を気づいていたのだろう。
「数も依頼書通りだ。 リーファ、準備はいいか? すぐ戦闘になるよ」
「大丈夫だよ」
ビックボアは『シュー』と低い唸り声をあげ、毛を逆立て威嚇してくる。警戒しているときにも同じような鳴き方をするが、村人とは違うことを向こうもわかっているのだろう。明確な敵意の意思表示だ。
大したことはない相手だが、それに今回の相手は群れでリーファも隣にいる。注意しなければ。
「「「 ブオーッ !!! 」」」
雄叫びをあげ前足で地面を蹴っって物凄い勢いで一斉に突進してくる。
直線的な動きが多いビックボアだが、その分直線のスピードに特化しているともいえる。
だが、そこが弱点でもある。
「リーファ!!」
合図と共に俺の隣で魔法の準備をしていたリーファが、待っていましたと手を広げ魔法を展開させる。
『無数の矢の雨!!!』
光の矢がリーファの前に数百本出現し、ビックボアに向かって凄まじい速さで飛んでいく。
二人に向かって突進してきたビックボアは、光の矢が当たる直前に起動を変えようと巨体を捻ろうとするが、数百の矢が飛んできていては避けれる筈もない。
「「「 プギーーーーッ !!!!」」」
群れで襲いかかってきたビックボアは、リーファの魔法によって成すすべなく倒れていく。
これは流石に可哀想だな。俺でも避けれるか分からない。
暫くしてピクリとも動かなくなったビッグボアの群れを見て、ハイケルは討伐完了と判断した。
たまに死んだふりする魔物もいるからな。油断は禁物だ。
「やったなリーファ。 初めて一人で依頼を達成したんだ。 感想はどうだ?」
「嬉しいっ。 初めて一人で全部出来た!! 楽しかったし、また今度もやりたい!」
本当に嬉しかったのだろう。ハイケルに抱きつき、目を輝かせながらリーファは答えた。
「そうか、それはよかった。 村に帰って村長に報告しに行こうか」
「うんっ!!」
村には甘いスイーツのある店もある。ご褒美も兼ねて俺はリーファと村長に依頼達成の報告が終わった後、甘いスイーツを食べて帰ったのだった。
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