リーファはまだ9歳なの!
「こりゃあ、たまげた。 まさかこんな小さい嬢ちゃんが、まさかアイテムボックス持ちとは」
流石にダグラスも俺からとびきりと伝えられてはいてもアースドラゴンが、それも二匹同時に出てくるとは微塵も思っていはいなかったのだろう。
あまりの想定外の出来事にまだ呆然としている。
「このアースドラゴンを二匹解体してほしいんだ。色は多めに付けてもらって構わない。出来れば早めに頼む。 最近色々あって金がないんだ」
「それはもちろん構わねぇ。 にしてもいつも見事なもんだな。 あの硬いアースドラゴンを一撃で仕留めるとは、お前の腕もまだ錆びついてねぇんだな」
ダグラスは関心しながら仕留めたアースドラゴンに近寄って行き、切り口ををまじまじと見つめている。
専門家が解体する際は解体専用の道具を使い皮を剥いだり、素材を取っていく。
当然、素材として使えるもの、使えないもの、食材として使えるものと細かく分けられ、それをお金に換金したり必要な素材は回収させて貰うこともある。今回は魔核含めて全て換金するが。
意識したことはあまりないのだが、解体するときに素材の劣化や損傷を受けていたりすると、その分価値が下がることは言うまでもないことだ。
ここにいるダグラスは解体業一筋の一流職人だ。だからドラゴンだろうがなんだろうがダグラスの手にかかればどんな魔物だろうが解体してくれるだろう。
そのダグラスの一点を見つめ、見る目が変わる。
「この二匹のアースドラゴン、同じように一撃で仕留めてはいるがそれぞれで切り口が違う。 斬撃にも似ているが微妙に違う。これはどういうことなんだ?」
流石はダグラス。そんなところにも指摘を入れてくるとは。私生活までは知らないが仕事は一流なんだろう。まぁ、誤魔化しても仕方がないし、いつかは話すことだ。このまま全部話をしておくことにしよう。
「片方はリーファがやった」
「リーファ? 聞かない名前だな。 それにそんな冒険者このギルドにいたか? それとも最近来た冒険者か………」
ダグラスは首を傾げ、記憶を辿る。
おそらくそんな冒険者はこの王都にはいない。俺だって知らない。だって仕留めたのは俺の愛娘だもん。
リーファの名前をさっき本人から伝えられても隣にいるリーファ本人がやったとは思ってもいないのだろう。
「リーファだよ。 これはリーファが倒したの!!」
リーファは頬を膨らませ、小馬鹿にさせたのかと勘違いでもしたのだろう。ムッとした表情でダグラスに伝えるがそれを聞いたダグラスは思わず笑ってしまう。
「あっはっは。 お嬢ちゃんがこれを? そいつはいい冗談だ」
俺とリーファは笑わずにダグラスが笑い終わるのを待った。
まぁ冗談と思いたいよね。でも冗談じゃないんだよ。俺も実際に見るまで半信半疑なところがあったから分かる。騎士団を動かすほどの大型の魔物を子供一人で倒したなんて笑えないジョークだからな。
喋らない二人の雰囲気を察したのか、ダグラスの表情が段々と変わっていく。
「おい、まさか本当に譲ちゃんがやったのか? ハイケル、本当なのか?」
「そうだよ。リーファがやったの!」
「本当のことだ。 リーファは魔法が使えるんだ。それもかなりの高位風魔法を」
「おいおいおい。 これはとんでもないお譲ちゃんだな。 ハイケル以外でアースドラゴンを一撃で倒す冒険者なんて初めて出会ったぞ」
「やったぁ。 ハイケルと一緒!!!」
隣でリーファは俺と同じと言われたことに嬉しかったのか満面の笑みで喜んでいる。
「いや、リーファは冒険者じゃない。 まだ9歳だからな。 冒険者登録できないんだ」
「きゅ、9歳!! 冒険者でもない子供がアースドラゴンを倒したのかっ!!!」
「そうだよっ。 リーファはまだ9歳だけどハイケルと一緒にドラゴン倒したの」
確かに地竜といえど、立派なドラゴンの一種だな。間違ってはない。
冒険者になろうと思った時、15歳にならなければ冒険者登録を出来ないのは誰もが知っている事だ。
だから冒険者を目指すときに冒険者登録出来るその日まで腕を磨いたり、小さい魔物のスライムやウルフなどを狩って経験を稼ぐのは誰もがやることだが、9歳の子供が一人でアースドラゴンを仕留めるとは誰も思わないだろう。隣にいた俺だって未だに信じれないほどだ。
「いかん、色々規格外な事があり過ぎて頭がついてこねえ………」
まぁ、普通はそういう反応になるよな。
頭を抱えたダグラスに、俺はリーファと倒した二匹のアースドラゴンをダグラスに託し解体場を後にした。
後日、スライムの魔核が1Ḡとすると、換金したら60,000Ḡと、とんでもない金額になったのは言うまでもない。
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