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リーファの姿

 新しく借りた宿に着き、俺とリーファは早速風呂に入る準備をする。下水道で散々臭い泥水を浴びたからな。部屋に入るとよりリーファもだが俺も匂いも酷い。


「おじさん……臭い」


「臭いのはリーファも同じだろ。 一緒に服を脱いで風呂に入るぞ。身体も洗ってやるから、ほら早く脱げ」


「だって……恥ずかしい」


「恥ずかしい? そんな身体で恥ずかしがるような年でもないだろ。 ほら」


「うっ……うう。 分かった」


 俺は強制的にリーファのぼろぼろの服を脱がせ何日履いてたか分からない下着も脱がせて一緒に風呂に入る。

 こんな事をいうのはなんだが、少女に興味はない。大人の女性が俺は好きなんだ。


「うう……温かい」


「だろ? 髪も洗うから目を閉じてじっとしてな」


 そうしてリーファの髪を洗っていく。内心暴れるかとも思ったが、俺の言う事をちゃんと聞いてじっと大人しくしてくれている。

 こうしてみるとリーファは素直な子なんだろう。


「よし。綺麗になった。 次は身体を洗うぞ」


「……うん」


 痩せた身体。 そして子供らしくない身体。 あばら骨が浮いていて一体何日まともな御飯を食べてないのか。

 こんな子が西地区には俺が気付いていないだけで沢山いるのだろうか。そう思うと少し胸が痛くなる。

 だが、それは俺の偽善だ。今は目の前にいるリーファをみてやらなくては。


 それにリーファは子供で食べ盛りだろう。パン一つじゃまだ腹も空いてるだろうから風呂が終わったら早く御飯を食べさせてやらないとな。


 そう思いながら何日も風呂に入っていないリーファの身体をしっかりと洗い、 ついでに服と下着も洗う。


 う〜ん。 駄目だなこれは


 両方とも洗ってはみたが汚れが落ちないし、破れているところが何か所もあって使えそうもない。


 決まったな。 明日はリーファの服と下着を買いに行かなくては。


 ばさばさだった髪もしっとりし、汚れた身体も綺麗さっぱりした。

 こう見るとやっぱり可愛い子だリーファは。痩せているとはいて、ちゃんと食べたらとびきり可愛い子になるだろう。


 リーファが1人退屈しないように俺もさっさと身体を洗い一緒に風呂に入れるようにする。


「リーファ一緒に湯船に浸かるぞ。おいで」


「う、うん」


 子供と大人が入れるくらいには余裕がある湯船に二人で一緒に浸かり、俺はやっと落ち着けた。今日は色々あった。

 餓狼の牙の解雇にリーファとの出会い。

 これも何かの縁なのかもしれないな。


「ふぁ〜。 風呂は気持ちいいなリーファ」


「うん。 お風呂温かい。 それと気持ちいい」


 リーファにも喜んで貰えてよかった。

 しばらく風呂に浸かった後に俺はリーファを拭き、着せる服がなかった為、俺の服を着せたのだが、当たり前にぶかぶか過ぎて着れたものじゃない。


 分かってはいたが今日は我慢するしかないか。

 それにしてもリーファは不満そうな顔もせずに逆に嬉しそうにしているのは何故なのか。


 俺は食事を部屋に持ってきて貰うよう下の階にいる店主にチップを渡し話をつけた。

 リーファに満足してもらえるように甘いデザート付きにもして。


 普段なら下の食堂に降りて冒険者や、他の旅人達と同じ席で御飯を食べるのだが今日は仕方ない。下着も着けずにリーファを食堂に行かせるわけにはいかないからな。


 持ってきて貰った晩御飯を見るとビーフシチューとパン。それと紅イチゴが別皿に用意されていた。


「さぁ。 リーファ晩ごはんにしよう」


「おじさんいいの? ……本当に食べて?」


「いいぞ。 リーファの為に用意したんだ。 たんとお食べ」


「うん。 ありがとう」


「急いで食べなくてもいいぞ。 喉に詰まらせるからな。 ゆっくり食べればいい。 誰も取ったりしないから」


「うっ………ふぇ…ん」


 泣きながら食べるリーファはよほど辛かったのだろう。どんな理由があってあそこに一人でいたのかは分からない。でもいつかリーファが話せる時がきたら聞いてみようと思った。


 あれならリーファはお腹が膨れて満足したのか眠いと言ってきたので俺の布団で一緒に寝ることにした。


 安心した寝顔、ずっと一人で不安だったんだろう。親もいない状況で子供が一人で生き抜くには当時の俺でも不可能だ。

 偽善かもしれないが安心してこの子をいつか送り出せる日を作ってやろうとそう思った。


 翌朝


「あれ……リーファ?」


 俺の隣で可愛い寝顔を見せるリーファだが、昨日と違う点があった。


 違う。確かに西地区にいた時も、風呂に入れた時も間違いなく確認した。


「お前………もしかして……」


 人族とずっと思い込んでいた。

 だが、今は明らかに違う。人族にはない長く尖った印象的な耳。

 何度か会ったことがあるが本当に希少種族。


「エルフ……なのか?」


 子供ながら高等魔法の隠蔽魔法を使っていたのか。

 今は魔法が解けて元の姿のエルフに戻っている訳だが。俺ですら気付かないとは。 


 拾ってきた子供がまさかエルフとは、俺は想像すらしていなかった。




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日間恋愛短編部門 1位獲得

隠れて浮気を楽しむ妻に復讐というプレゼントをしてみた

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