第27話 どんなお話にも最終回は必要?
このお話は、夢落ちにしたくは無いので、IFの世界線とお考え下さい。
解決編までは、あと少しお時間を頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
俺は今回、どこで間違いを犯してしまったのか?自らの分水嶺について、思考していた。
山門國の巫女サグメは捕縛して、尋問を目前にしながら、再度取り逃してしまった。
和邇の一族の長であるシヲツチは、顔見知りの者達を全て切り捨てた。
暗殺の件は、元侍従ワザヲキを顔見知りであることを認めた上で、それ以外についての全てを元侍従ワザヲキの仕業として切り捨てた。
ワザヲキも言い逃れ出来ない証拠を前に自供したが、シヲツチの関与については完全否定、或いは黙秘を貫いた。
御子ミノタロに対する美人局の件では、新妻のトヨタマですら切り捨てた。
この件では、不義密通を仕出かしたトヨタマこそに罪が有り、自らを被害者であると言い逃れた。
肝心のトヨタマすら、自身が切り捨てられたことを聞いても、一切の黙秘を貫いた。
尋問にミノタロが加わっても、その態度を翻すことは無かった。
押収した品から証拠は見つかった。
しかしこの時代の書簡に、差出人も宛先もない。
この書簡もまた、ワザヲキの仕業であると言い逃れてしまった。
その上で財産の保全と原状回復に関して、商家ワニとしての存続を逆に求めてきた。
場合によっては、宗主国である山依國による圧力すら匂わせて、逆に脅迫してくる始末であった。
私室に戻ると文机に向かって、何が失敗だったのか?俺は頭を抱えていた。
フッと気が付けば、引き出しにしまい込んだ“《《あの》》書状”を手に取っていた。
『伊都國の接問処にて待つ』
宗守ウズメとの一方的な、二年後の約束事に思いを馳せていた。
(このデートのお誘いに応えることは出来なくなったな…)
それと同時に、俺の生きている意味…生きていて《《良い》》理由を、完全に失ってしまった。
この状況下に於いて、俺が伊都国に置かれた一大府に出仕するのは、自殺行為と何ら変わることがない。
きっと直ぐに暗殺の手が及ぶのは間違いがない。
俺は大きく溜息を吐くと、再び深い深い思考の闇に、溺れて行くのであった。
◆ ◇ ¿FINE? ◇ ◆