第097話
魔術師ギルドで報告会という名の質問攻めにあった後、アーネストは疲れ果てて邸宅へと向かった
ギルバート達に結果を報告する為だ
結果としては、魔術師達の協力は得られる事になった
しかしまだまだ、問題は山積みである
あまり気が進まないまま、二人が食事をしている食堂へと彼は通された
食堂では、ギルバートがフランドールと会談していた
食事はほとんど終わっており、幸いにもジェニファーや娘達は引き上げていた
会談の内容は本日狩ったアーマード・ボアの事で、食材としての可能性を談義していた
アーマード・ボアの肉は、ワイルド・ボアの肉よりも上質な肉だったのだ
「アレの装甲は固いのですが、中の肉は柔らくて極上です
魔力が通っているからか、並みのワイルド・ボアよりは旨いですね」
「なるほど
そうなると、その肉は陛下への献上品にしてもよろしいでしょうな」
「献上品ですか?
そうなると輸送の手段が問題になりそうですね
まさか干し肉にして献上するわけにもいきませんし…」
「うーん
そうだなあ
魔法で凍らせるのはどうでしょう?
寒い地域では凍らせて鮮度を保つ方法があると聞きました
それを真似して凍らせて運ぶんです」
「なるほど
凍らせて運ぶか…」
しかしそこで、別の問題がある事に気が付く。
アーマード・ボアほどの大きさの物を凍らせるには、相当な魔力の魔術師が必要だ。
それに凍らせたとしても、王都までは2週間は掛かるだろう。
凍らせたままにするには、その都度氷の魔法を掛け直す必要がある。
「あ!
でもそれには、魔術師が付き添う必要がありますね」
「ん?
そうか…
一度凍らせても、王都まではもたないか」
「そうですね
氷の魔法を習得した魔術師が必要になりますし…」
「そうなれば…
アーネスト君が同行する必要があるか」
「そうですね
他には適任者は居ないでしょう」
「そうなると、どの道魔物の侵攻が終わるまでは送れないか」
「ええ
侵攻終わるまではもちませんから、終わった後にまた狩らないといけませんね」
「そうだなあ
だが、そうそう上手く狩れるかな?」
「うーん
難しいですね
上手く出てくれれば良いんですが」
そんな話をしていると、アーネストが食堂に到着した。
アーネストは疲れた表情で、食堂に入って来た。
「お!
お疲れさま」
「どうでしたか?」
「いやあ、疲れたよ」
アーネストは食卓に着くと、そのまま突っ伏した。
それを見て二人は顔を見合わす。
これほど疲れたとなると、話し合いが難航したのだろう。
それこそ魔術師達が、戦場に出ないと抗議したとか考えられた。
「どう思います?」
「そうとう話か拗れたのかな?」
「やはり出たく無いのかな?」
「だろうね
静かに研究に集中したいんだろう
それが戦場で、魔物と戦うなんて…」
「そうですね
兵士でも嫌がりますからね」
「ああ」
二人は魔術師達が出陣になかなか応じなかったと思い、心配をし始めた。
その間にも、アーネストは疲れた顔をして顔を顰める。
「もしかして、魔術師達は狩に出るのを嫌がっているのかい?」
「それだと部隊の編成を考え直さないと」
「早急に将軍に相談しよう」
「いや
それはなかった」
「ん?」
「どういう事だ?
それじゃあ何でそんなに疲れているんだ?」
アーネストはもそもそと座り直すと、不満そうに呟く。
「寧ろ率先して出たがっていたよ」
「え?」
「それじゃあ…」
「問題は戦闘に参加したいんじゃなくて、魔法を試したいんだ」
「え?」
「どういう事だい?」
そうこう話していると、調理された料理が運ばれて来る。
メインはアーマード・ボアのステーキで、野菜は取れたての夏野菜が蒸されて添えられていた。
旨そうな料理を前に、渋面だったアーネストの顔も綻ぶ。
まさかここで、こんなご馳走にあり着けると思っていなかったのだ。
「おお!
これはまさか?」
「ああ
今日はアーマード・ボアが狩れたんだ」
「それで早速調理させてみたんだ
温かい内に試してみてくれ」
「へえ
それじゃあ早速」
「ふふふ
驚くぞ」
アーネストはナイフとフォークを手に取ると、早速ステーキを切り始める。
両面はしっかりと焼かれており、切り口からは熱々の肉汁が溢れた。
見た目は豚のステーキに似ているが、牛の様に脂肪も十分に乗っている。
それが焼けた肉から滴って、香辛料や香草と相まって旨そうな香りを放っていた。
「ん!
はふはふ
旨い!」
香辛料は高級な為に、この街では領主でもそんなに多用は出来なかった。
それでも熱々の肉汁に岩塩と胡椒が絡み、そこに振られたハーブが効いてて食欲を増してくる。
口の中で肉厚の切れ端は柔らかく噛み切れ、そこから甘みを伴った肉の旨味が口中に広がって行く。
それに夏野菜を頬張ると、野菜のほろ苦さが口中をリフレッシュしてくれる。
これなら何枚でも、肉を食べられそうな気がした。
「これは旨い
ワイルド・ボアなんて目じゃないな」
「ああ
ワイルド・ボアよりも肉がしっかりしているのに、そのくせ柔らかくて旨いんだ」
「どうやら魔力を多く持った魔物の方が、旨味は増すみたいだね」
「ええ
文献にもそう記されていました
んー、旨い」
「ははは
火傷はするなよ」
「はふはふ
野菜の苦みがまた…
これは良い組み合わせだ」
「そうだな
取れたての野菜を蒸してみたんだ」
「パプリカも美味かったが、トマトも酸味が効いて良いぞ」
「そうですね
これなら何枚でもイケそうだ」
「おいおい
食べ過ぎて動けなくなるぞ」
「それならそれで、幸せだな」
「はははは」
「全く…
そんなには出さないぞ
在庫も少ないんだ」
肉は厚めの物を用意してあり、300gをゆうに超える大きな切り身だった。
それでもよほど美味しかったのか、アーネストはあっという間に食べ終わってしまった。
終いには残された脂で、パンを頬張っていた。
それほどアーマード・ボアの肉は美味かったのだろう。
「これは贅沢だな
幾らでも食べられそうだ」
「ああ
私もフランドール殿も、2枚も食べてしまったよ」
「え?
良いなあ…」
「安心しろ
既に2枚目も焼いてもらっている」
「ああ…」
アーネストが野菜を肉汁のソースで食べていると、2枚目が運ばれて来た。
今度は腹の肉では無く、背中の肉をしっかりと火を通した物だった。
それでも脂身が含まれており、筋張った肉の様に食べ難くは無かった。
むしろ柔らかく噛み切れて、とても魔物の肉とは思えなかった。
「うう…
旨い!」
「良かった」
「上手く狩れて良かったよ」
「しかし、食べ終わってなんだが…
献上しなくて大丈夫なのか?」
「ん?
国王への献上か?」
「ああ
こんなに食べたら、残りは少ないだろう」
「それなんだがな…」
「献上は侵攻が終わった後で用意しようと思うんだ」
「それは?」
ギルバートとフランドールは、先ほど話していた事を再び話した。
氷の魔法を使える魔術師を用意して、取れたてを凍らせて運ぶという話だ。
しかしそうなると、氷の魔法を使える者が必要だった。
そしてその者が、旅に同行する必要もあるのだ。
「なるほどねえ
凍らせて運ぶか」
「ああ
珍しい魚等も凍らせて運ぶと聞く」
「変に干し肉にしてしまうよりも、鮮度を保って運んだ方が喜ばれるだろう」
「そうだなあ
だが、そんなに上手く行くのか?」
「そこはやってみないと」
「それに魔物が攻めて来るのに、暢気に献上品を運んでなどいられないだろう
王都へはその旨を伝書で伝えるつもりだ」
「うーん
そうなると、是非とも侵攻を無事に退けないとな」
「ああ」
「そこで…
魔術師達の事なんだが」
「あ…」
ここでアーネストは、再び複雑な表情を浮かべる。
ありのままに報告した方が良いだろうが、それでも色々揉めそうだ。
なんせ魔術師達は、必要の無い魔法まで試してしまいそうだった。
そうなってしまえば、戦場は大いに混乱するだろう。
「ええっと
魔術師達なんだけど…
自分達の魔法を色々試したいんだそうだ」
「うん」
「それで?」
「攻撃魔法だけなら助かるんだが…」
「まさか!」
「え?」
「そう
他の魔法も試したがっている」
「ああ…」
「え?」
ギルバートは多少はギルドに顔を出していたので、魔術師達の言いそうな事が想像できた。
しかしフランドールは、魔術師というものをそこまでよく分かっていなかった。
まさか不必要で役に立ちそうにない、変な魔法まで使うとは思わなかった。
しかしアーネストは、それを要求されて辟易していたのだ。
「恐らくは…
生活魔法や効果が怪しい魔法を試したいんだろう」
「その通り」
「え?」
「連れて行きたいのは、攻撃魔法が優秀な魔術師達なんだが…
それでも性格には問題がありそうなんだ」
「そうだな
オーガを前にして、焚き火用の火付け魔法とか使われてもな…」
「それ…
本気なのかい?」
「ああ
恐らく本気だろうな」
「魔術師ってのは研究馬鹿なんでね
知識を得る為なら、魔物の前でも何をしでかすか分かりません」
「それは…困る」
「ええ
だから問題なんです」
「いや
それはお前もおなじだろう?」
「失礼な
オレはそこまでじゃあ無い」
「そうかなあ?」
「兎も角
危険な状況でも色々やりそうなんだ」
「それは危険では?」
「それが問題なんだよな」
「ああ
そんな奴等ばかりなんだ」
三人は黙り込み、暫し考え込んでしまった。
攻撃魔法の使い手でも、好奇心に負けてへんてこな魔法を使ってしまう可能性が高い。
そんな事をオーガにすれば、何が起こるか分からない。
下手な魔法を使えば、戦場は大いに混乱するだろう。
「しかし、てっきりオーガを怖がって来ないのかと思ったけど…
それよりも魔法を試す方が大事なのかい?」
「そうなんだよ
まさかあそこまでとは…」
「うんうん
魔法馬鹿ばっかりだからな」
「それって酷くない?」
「いや
それが正しい評価だ」
「そんなに酷いのかい?」
「ああ
何をしでかすか分からない
そう考えれば、連れて行くのも考え物なんだよ」
「そうなんだよな…」
フランドールには理解出来なかったが、ギルバートは何度か目撃している。
それもここに座っている、友人もその一人なのだ。
アーネストもそうは言っているが、たまに変な魔法の実験をしている。
そしてギルドに居る魔術師は、さらに頭の螺子が外れた者が多いのだ。
もしかしてだが、本気で生活魔法を掛けかねないのだ。
そんな事をしてれば、当然魔物は向かって来る。
攻撃をサポートするどころか、却って邪魔になるだろう。
ギルバートですらそう考えるのだ。
現実はもっと危険な魔術師達が多い。
「それで…
オーガに向けて魔法を放つのは大丈夫なのかい?」
「うーん
まだ分かりませんが、恐らく恐怖よりも探求心が勝れば…
案外平気なんじゃないですか?」
「そんなものなのかい?」
「ええ
彼等なら有り得ます」
「恐怖よりも探求心が増したら…
何だってやりますよ」
「そうだな
アーネストもそうだし」
「おい!
何でそこに、オレの名が上がるんだ?」
「いや、だって…
この前も実験と言って魔法を暴発して…」
「あれはよく考えて…」
「ううむ…
これは危険だな」
フランドールは二人から聞いた話で、改めて魔術師達の認識を変える事にした。
魔術の研究の為なら、オーガの前で横になるぐらいでもしそうだ。
いや、下手をしたらオーガの攻撃の前に、嬉々として飛び出しそうだ。
そして防御の魔法を試す為に、呪文を唱えながら突っ立っていそうなのだ。
「うーん
これは逆に、危険じゃないかい?」
「そうですね
ですがオーガとの戦闘に慣れる為にも、狩には連れ出さないと」
「あー…
それもあるのか」
今度はフランドールが悩み、頭を抱えてしまった。
確かに魔物と戦うには、魔術師達の魔法は有効な手段である。
これが有るのと無いのとでは、攻撃手段が大きく変わってしまう。
ましては拘束の魔法となれば、兵士の訓練にも大いに役立ちそうだった。
本気で支援してくれれば、これほど心強い事は無い。
しかし見当違いの魔法を使われては、戦場は大いに混乱する。
要は彼等が、真面目に魔物と戦ってくれれば良いのだ。
しかしそれが怪しいから、危険が増すと考えてしまう。
「厄介だが、一度は連れ出してみないと」
「うーん…」
「それで
具体的には何人ぐらい来てくれるんだい?」
「え?
ああ、人数は43人
一応ギルド長から認められた者だけになるな」
「それは…
全員が攻撃魔法が使えるって事かい?」
「そうですね
それと馬鹿をしないように、なるべくまともな方の魔術師達です」
「まともな方…」
「ええ」
まともな方と言っても、どこまでが基準か分からない。
先の話を聞いた後では、なおさらに不安になる。
そのまともな魔法使いとやらが、真剣に魔法を使ってくれれば良いのだが。
こればっかりは試してみるしか無かった。
「どこまで信用できるかは…」
「うわあ」
「大丈夫なのか?」
「ええ
一応オレも着いて行きますし、居ない方にはお目付け役が行きます」
「それは信用出来る人物なのかい?」
「え?
…多分」
「う…」
「多分?」
これ以上あれこれ言っても無駄なので、取り敢えずは編成を組んでみる。
アーネストが一番多い15人を率い、残りの13人ずつをお目付け役が見張る。
その二人はミリアルドとラスティといい、そこそこ魔法が使える魔術師であった。
ミリアルドはギルドでオレ様と言っていた人物で、炎の攻撃魔法が得意であった。
ラスティは女性の魔術師で、風の攻撃魔法を得意としていた。
「人柄はラスティが慎重派で、ミリアルドは攻撃的です
どちらをフランドール殿に着けますか?」
「そうだなあ
ラスティをフランドール殿に任せて、ミリアルドはオレが見張ろう」
「それでよろしいですか?」
「うん
少し心配だけど、それでお願いするよ」
こうして人員を振り分けて、早速明日の朝から連れて行く事となった。
その上で、アーネストはもう一つの注意事項を伝える。
それは魔術師達を連れる上で、どうしても避けられない事だった。
アーネストは並みの魔術師と比べても、非常に大きな魔力を有している。
しかし通常の魔術師では、そこまで潤沢な魔力を有していないのだ。
「それで、明日の狩なんですが
ギルドからも幾らかマジックポーションを持ち出します」
「ん?
何でマジックポーションが必要なんだい?」
「ああ…
やはり…」
アーネストのマジックポーションの発言に、フランドールは怪訝そうに尋ねる。
しかしギルバートは、その事に思い当たる事があった。
アーネストですら、攻撃魔法をあまり連発出来ない。
アーネストですら、魔力切れに悩まされているのだ。
それが並みの魔術師となれば、すぐに魔力切れを起こすだろう。
「魔術師達は、魔力が切れたら只の人です」
「え?」
「つまり、魔力切れをしたら役に立たない…
いや、足手纏いの恰好の的ですね」
「え?
まさか…」
「そのまさかです」
「しっかりと自分の魔力を把握して行動してくれれば良いんですが
恐らく好き勝手に魔法を放って、魔力切れを起こして倒れるでしょう」
「それは…」
「そうならない為に、マジックポーションが必要です
魔力切れをさせない様に使わせてください」
「ああ…
なんて面倒臭いんだ」
フランドールは思った以上に使え無さそうな魔術師に達悲嘆して、再び頭を抱える。
それを横目に、二人は苦笑いを浮かべた。
そんな悩みを、ギルバートも感じた事があった。
以前のアーネストが、まさにその様な行動を取っていたからだ。
「まあまあ
そこさえ目を瞑れば、彼等は強力な攻撃魔法を覚えて戦ってくれます」
「そうですよ
上手く使えば強力な攻撃手段になります」
「上手く…ねえ…」
ギルバートとアーネストは、魔術師達のフォローをする。
確かに遠距離から攻撃魔法で牽制も出来るし、拘束や睡眠等の魔法でサポートも出来る。
要は使い方次第なのだ。
魔力切れを起こさない様に、しっかりと見張る必要はあるが…。
話し合いはこれで終わったが、フランドールはアーネストが疲れていた理由が分かった様な気がした。
確かにこんな面倒な話を抱えれば、気分的にも疲れ果てるだろう。
アーマード・ボアの肉が効いたのか、今は元気になっている。
しかしフランドールは、アーネストに同情をしていた。
そして明日は自分がそうなるかも知れないと思い、憂鬱な気分になった。
フランドールはメイドに頼んで、強めの葡萄酒を用意してもらった。
明日の事を考えれば、すぐに眠った方が良いのだろう。
しかしフランドールは、今から憂鬱な気分になっていた。
その憂さを晴らす為に、強めの葡萄酒を呷ろうとしたのだ。
「明日の事を考えると、飲まないとやれないよ」
「大丈夫ですか?」
「ああ
飲んだらすぐに寝るよ」
「ほどほどにしてくださいよ」
「ああ」
溜息を吐きながら、3年物の葡萄酒を呷る。
「フランドール殿
あまり飲み過ぎないでくださいね
余計に頭痛で苦しみますよ」
「う…
それは言わないでくれよ」
「ははは」
フランドールに忠告しつつ、ギルバートも一杯だけ付き合う。
アーネストもグラスに半分ほどもらい、軽く呷った。
「大人が酒に逃げたくなる気持ちが…
少しだけ分かった」
「おいおい
これぐらいの事で」
「そうですか?」
「うーむ
言いたい事は解るが、実際はもっと嫌な事が沢山あるぞ」
「うへえ
大人になりたくねえ」
「はははは」
フランドールにからかわれて、アーネストは渋面を作った。
ギルバートはそんな二人を眺めつつ、確かに大人は大変だと思っていた。
それは父であるアルベルトを思い出したからであり、父の仕事を見ていたからだ。
今は三人で役割分担が出来ているが、いずれはフランドールが一人で切り盛りしなくてはならない。
それは従者達がサポート出来る様になっても同じだ。
大事な事は最終的には全て領主が決めて、それの責任も負わないといけない。
アルベルトもよく酒を飲んでは、仕事の愚痴をジェニファーに溢していた。
ジェニファーはそれを、事情は理解出来なくても優しく微笑んで聞いていた。
そういう意味では、フランドール殿も早く、そういった相手を見付けなくてはならないんだろな
フィオーナとの婚約話も出ていたが、あれはあくまで領主を継ぐ為の事だ
こうして正式に代行となったからには、フィオーナ以外の婚約者でも問題無いだろう
それに…
フィオーナではまだ子供過ぎて、フランドール殿のお相手は無理だろう
ギルバートはそう考えながら、侵攻を無事に退けたら、改めてフランドールに話してみようと思った。
自分は王都へ行かないといけないし、ここはフランドールが治める事になるのだ。
国王と面会した後にでも、その話をしてみるのも良いだろう。
この街を安定して治めてもらう為にも、やれる事はしなくてはと思っていた。
だが…
全ては魔物の侵攻を退けてからだ
先ずは、明日の狩で成果を挙げなくては
ギルバートはグラスの葡萄酒を呷り、決意を改にしていた。
まだまだ続きます。
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