戦争映画を観る者は、軍国主義者なのか?
若い頃、私はよく戦争映画を観ました。
ただ、映画館で観たのかテレビ放送で観たのかは、もう覚えていませんですけど。
覚えている作品としては、連合艦隊とか大日本帝国、二百三高地といった大作です。
特にこの三つの作品には、丹波哲郎や森繁久彌といった名優が出演しており、見ごたえ十分でした。
それを学校のクラスメイトに話したところ、私はこう言われました。
「君ってさ、軍国主義者だよね」と。
ナチス礼賛者
ファシスト
右翼
そして、軍国主義者と。
だけど、いずれの作品も戦争の悲惨さを描いており、特に死体を山と積んでいる光景や、血と油の海に浮かぶ死体、また死体の光景は、今でも思い出すことが出来ます。
これらの戦争映画を観て、軍国主義者になれるとしたら、それはよほどの神経でしょう。
しかも、最後は戦争に負けている上に、戦争犯罪者として一方的に裁かれるんですから。
勝てば官軍とは、よく言ったものです。
その意味で私の立場は反戦であり、平和を礼賛します。
こうして生きているのも、エアコンの効いた部屋でこの文章を書けるのも戦争に巻き込まれなかったからであり、それこそ平和って尊いよねと言えます。
戦争は何が何でも回避すべきであると思うのは、今のウクライナの惨状を見れば誰でも分かるでしょう。
戦時中は普通に生活が出来なくなる上に、戦後は復興までに時間を要します。
おまけに相手が普通の国ではなく、自国が相手国と比べて国力が劣っていた場合、こっちの息が切れたら劣勢に立たされます。
太平洋戦争における、日本がまさにそうです。
すべてを質屋に入れて、戦争をしていると揶揄されるように、国力ではどうにも太刀打ちできません。
それが日本であり、今も変わらないどころか、今の方がより脆弱に思えます。
だからこそ、日本にも侵略に対抗出来る武装が必要であり、NATOのような集団安全保障の枠組みが必須と思います。
つまり、真の平和主義者とは、それは無抵抗主義者ではなく、何が何でも自国を平和に保つ、すべてを犠牲にしても自国民の生活を守る者と考えます。
間違っても、つまらないプライドでこっちから攻めに行った挙句、散々やり返されて自国を危険に晒すような者の事ではありません。
それを軍国主義者の発想と言うのなら、そんな発想が必要の無い世界を構築してからにして欲しいと、私はそう思います。
世界から戦争を無くすには、カレルレンのような存在が現れない限り、不可能でしょうから。
だからこそ我々は、常に戦争の準備をしないといけません。
戦争に巻き込まれない為にです。
「あの戦争の突入経過に対して、他に道がなかった、やむをえなかったといって弁護する保守派の人も多い。しかし、それでは同じような危機に直面したら、また、戦争をやるということだ。あの悲惨な戦争から何も学んでいないことになる。」
鈴木邦男